リピート

美容室のリピート率の計算方法|式より大事な「期間の決め方」

式は単純ですが、期間を決めないと同じデータから2倍以上違う数字が出ます。電卓だけで意味のある数字を出す手順をまとめました。

読了 約10分
美容室のリピート率の計算方法|式より大事な「期間の決め方」

「リピート率の計算式」を調べると、たいていこう書かれています。

リピート率(%)= 再来店客数 ÷ 総顧客数 × 100

この式は、そのままでは使えません。分母の「総顧客数」が何を指すのか、分子の「再来店客数」をいつまで数えるのかが決まっていないからです。ここが決まらないまま計算すると、同じ店の同じデータから、2倍以上違う数字が出ます。

この記事では、電卓とメモ用紙だけで、意味のある数字を出す手順を示します。ツールは要りません。

計算したあとの打ち手は美容室のリピート率を上げる方法に、エクセルでの実装はリピート率をエクセルで管理するにまとめています。


前提として押さえる数字 美容室の年間利用回数は女性 4.18回(前年比−2.8%)、男性 5.05回(同−3.6%)。1回あたり単価は女性7,668円・男性4,879円で横ばいです(リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期【美容室編】」)。 来店が年4回台ということは、計算期間を短く取りすぎると「まだ来る予定の方」を失客に数えてしまうということです。期間設定が、この計算で最も重要な部分になります。

1. まず、3つの指標を分ける

「リピート率」という1語で、まったく違う3つの数字が語られています。混ぜないでください。

指標計算式何を判断するか
初回リピート率2回目に来た新規客数 ÷ 新規客数新規の受け皿ができているか
既存継続率当期も来た既存客数 ÷ 前期の既存客数常連が離れていないか
失客率一定期間来ていない既存客数 ÷ 既存客数どれだけ抜けたか

見るべき場面が違います。

  • 新規は取れているのに売上が伸びない → 初回リピート率
  • 売上がじわじわ落ちている → 既存継続率
  • 名簿は増えるのに稼働客が増えない → 失客率

多くの記事が「リピート率」と呼んでいるのは、このうちの初回リピート率です。以下、まずこれを出します。


2. 期間を、来店サイクルから決める

2-1. なぜ「90日」ではいけないのか

多くの記事が90日を勧めますが、根拠がありません。自店の来店間隔によって、適切な期間は変わります。

同じ店の同じデータでも、期間を変えるだけでこうなります。

集計期間初回リピート率
30日以内12%
60日以内38%
90日以内57%
180日以内71%
365日以内79%

同じ店です。期間を書かずに「リピート率」と言うことに、ほとんど意味がないと分かります。

2-2. 決め方

初回リピート率の測定期間 = 来店サイクルの中央値 × 2

サイクル中央値が52日なら104日。60日なら120日です。

×2にする理由は、1回分の来店機会を逃した方まで含めて「まだ戻る可能性がある」と見るためです。1周期分だけで区切ると、少し遅れただけの方を失客に数えてしまいます。

既存継続率の場合は×1.5が目安です。既存客はサイクルが安定しているため、初回ほど余裕を見る必要がありません。

2-3. 来店サイクルの中央値の出し方

平均ではなく中央値を使ってください。年に1回しか来ない方が数人いるだけで、平均は大きく引っ張られます。

  1. 2回以上来ている方について、前回と今回の間隔(日数)をすべて書き出す
  2. 小さい順に並べる
  3. ちょうど真ん中の値が中央値(偶数個なら中央2つの平均)

30人分あれば十分な目安になります。詳しい手順は美容室の来店サイクル(来店周期)の測り方にまとめています。


3. 初回リピート率を計算する

3-1. 手順

例:来店サイクル中央値が52日の店。測定期間は104日。

  1. 起点となる月を決める(例:4月)
  2. 4月の新規客数を数える(例:100名)
  3. その100名それぞれについて、初回来店日から104日以内に2回目があったかを確認する
  4. 該当した人数を数える(例:29名)
  5. 29 ÷ 100 × 100 = 29%

3-2. 起点の月の選び方

今日から104日以上前の月を選んでください。まだ104日経っていない月は、計算しても確定しません。

今日が8月28日なら、104日前は5月16日。確定値を出せるのは4月以前の新規です。

これは重要な制約です。「先月のリピート率を知りたい」は、原理的にできません。直近の状況を知りたい場合は、リピート率ではなく次のいずれかを見てください。

  • 次回予約の取得率(当月のうちに分かります)
  • 来店サイクル中央値の推移(翌月から動きます)
  • 遅れリスト(平均間隔×1.3を超えた方)の人数

3-3. 数える範囲の注意

注意点扱い
同月内に2回来た新規2回目としてカウントします(前髪カット等も含む)
他店から移ってきた方自店では新規として扱います
予約なしの飛び込み新規に含めます(除外すると母数が変わります)
家族・スタッフ除外します(判断が歪みます)

一度決めたら変えないでください。変えると時系列が追えなくなります。


4. 既存継続率を計算する

4-1. 手順

例:測定期間は中央値52日 × 1.5 = 78日。ここでは分かりやすく四半期(90日)で区切ります。

  1. 前期(1〜3月)に来店した既存客数を数える(例:420名)
  2. そのうち、当期(4〜6月)にも来店した人数を数える(例:298名)
  3. 298 ÷ 420 × 100 = 71%

4-2. 「既存客」の定義を決める

ここも決めが必要です。一般的には次のいずれかです。

定義向く店
2回以上来店した方標準的。おすすめ
直近1年以内に来店した方名簿が大きい店
サイクル×3以内に来店した方サイクルが明確な店

「累計顧客数」を分母にしないでください。何年も前に一度来ただけの方が入り、数字が意味を失います。


5. 分解して、原因を特定する

全体の数字を出しただけでは、打ち手が決まりません。分けて見ることで、初めて原因が見えます。

分け方見えること
流入経路別割引クーポン経由が全体を押し下げていることが多い
担当者別教育で埋まる差か、客層の違いか
メニュー別カラーだけ低いなら色持ちの問題
曜日・時間帯別混雑時に説明が省かれていないか
性別・年代別客層と提供内容が合っているか

最も発見が多いのは流入経路別です。全体が29%でも、クーポン経由15%・紹介60%ということが普通に起こります。平均で見ている限り、この差は見えません。

担当者別の数字の扱い方はスタッフ別リピート率の見方に、現場を壊さない使い方まで書いています。


6. 1ポイントがいくらになるかを出す

計算する目的は、打ち手にいくらまで手間をかけてよいかを決めることです。

年間の増加売上 = 年間新規客数 × 改善するリピート率(ポイント) × 平均来店回数 × 客単価

例:年間新規1,200名、客単価8,000円、リピート後の年間来店回数3回

初回リピート率2回目に進む人数年間売上
25%300名720万円
30%360名864万円
35%420名1,008万円

5ポイントで年144万円、月12万円です。この金額が、施策にかけてよい手間の上限になります。


7. よくある間違い

7-1. 分母に累計顧客数を使う

3,200名の名簿のうち、1年以内に来たのが510名。ここで「510 ÷ 3,200 = 16%」と計算しても、それはリピート率ではなく稼働率です。指標として有効ですが、別物として扱ってください。

7-2. 期間を書かずに他店と比べる

「うちは35%、平均は28%だから良い」——比較になっていません。相手が30日で測り、自分が180日で測っていれば、数字の意味が違います。

7-3. 出所の分からない平均値と比べる

よく引用される「新規28.1%・既存70.9%」は、公開された調査に遡れません。調査主体・時期・対象・定義のいずれも確認できません。

出典が明確な一次調査は存在します。この記事で使っている美容センサス(リクルート ホットペッパービューティーアカデミー)、帝国データバンク、厚生労働省などです。平均値は、そこにありません。

7-4. 毎月定義を変える

分母や期間を変えると、前月と比べられなくなります。一度決めたら、少なくとも1年は変えないでください。

7-5. 施策を5つ同時に始めてから測る

どれが効いたか分かりません。1度に変えるのは2つまでです。


8. よくある質問(FAQ)

Q1. 美容室のリピート率の計算式を教えてください。 A. 初回リピート率=2回目に来た新規客数÷新規客数×100、既存継続率=当期も来た既存客数÷前期の既存客数×100です。ただし式より重要なのが期間設定で、初回リピート率は来店サイクル中央値×2、既存継続率は×1.5を目安にしてください。期間を決めずに計算すると、同じデータから2倍以上違う数字が出ます。

Q2. 期間は90日でよいですか。 A. 自店の来店サイクルによります。中央値が52日の店にとって90日は1.7周期分で、1回分の来店機会を逃しただけの方まで失客に数えてしまいます。中央値×2(この例では104日)を使ってください。

Q3. 先月のリピート率を知りたいのですが。 A. 原理的に測れません。中央値52日の店なら104日経たないと確定しないため、今日が8月末なら確定値を出せるのは4月以前の新規です。直近の状況は、次回予約の取得率、来店サイクル中央値の推移、遅れリストの人数で見てください。

Q4. 分母は累計顧客数でよいですか。 A. 使わないでください。何年も前に一度来ただけの方が入り、数字が意味を失います。初回リピート率なら「その月の新規客数」、既存継続率なら「前期に来店した既存客数」が分母です。累計顧客数を使った計算は稼働率であり、別の指標として扱ってください。

Q5. 平均は何%を目指せばいいですか。 A. 出典が確認できる公開調査に、美容室のリピート率の平均値はありません。よく引用される数値は調査に遡れず、しかも分母と期間で2倍以上変わるため、比較の基準になりません。他店ではなく、定義を固定した自店の前月・前年同月と比べてください。

Q6. エクセルで自動化できますか。 A. できます。COUNTIFS関数で期間内の再来店を数える形が基本です。関数つきの手順はリピート率をエクセルで管理するにまとめています。ただし、まず手計算で1回出して、数字の意味を掴んでからのほうが失敗しません。


9. まとめ

  1. 「リピート率」は3つの別々の指標です。初回リピート率・既存継続率・失客率を混ぜないでください
  2. 式より期間が重要です。初回は来店サイクル中央値×2、既存は×1.5
  3. 分母に累計顧客数を使わないでください
  4. 分解して初めて原因が見えます。特に流入経路別
  5. 1ポイントがいくらかを出してから、施策を選んでください

数字を出したあとの打ち手は美容室のリピート率を上げる方法に、順番をつけてまとめています。

verified出典・参考

制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。

この記事について

LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。

記事の内容は掲載時点の情報です。仕様や料金は各サービスの公式情報をあわせてご確認ください。 何を根拠に書き、どの分野は専門家にご確認いただきたいかは編集方針に記載しています。 運営会社について

その悩み、LIKEで解決できます

LINE連携CRMで、新規を“資産”に変えて再来へ。
初期費用0円・月額1万円・縛りなし。まずは無料でご相談を。

関連コラム