ホットペッパーの掲載をやめる前に|判断の手順と、必ず済ませる三つの準備
「やめる」を先に決めると失敗します。最初に出すべき数字、やめる前の三つの準備、契約の締切確認、そして「やめない(依存度を下げる)」という選択肢まで整理しました。
1. 「やめたい」と思ったときに、最初に確認すること
ホットペッパービューティー(以下、HPB)の掲載をやめたいという相談は、たいてい次のどれかがきっかけです。
- 掲載料や手数料が値上げされた
- 費用に見合うだけの新規が来ていない
- 割引目当てのお客様ばかりで、常連にならない
- 予約は入るが、利益が残らない
どれも切実な理由です。ただ、「やめる」を先に決めてしまうと、うまくいかないことが多いのも事実です。掲載をやめれば新規の流入は止まります。売上が落ちてから慌てて再開すると、初期費用や条件の面でかえって不利になることもあります。
この記事では、やめる前に確認すべきこと、準備すべきこと、そして「やめない」という選択肢も含めて整理します。
まず数字を出す
感情ではなく数字で判断するために、最初にこれを計算してください。
新規1人あたりの実質コスト =(掲載料+手数料+オプション費+割引クーポンの原価)÷ 実際に来店した新規の人数
3か月分で計算します。詳しい手順は ホットペッパービューティーの費用 の6章にまとめています。
この数字が出たら、次にこれを確認します。
回収に必要な来店回数 = 1人あたりコスト ÷(通常客単価 × 粗利率)
たとえば1人あたり11,000円、通常単価10,000円、粗利率70%なら、11,000 ÷ 7,000 = 約1.6回。初回のあと2回来ていただければ回収できる計算です。
判断が分かれるところ
ここで、多くの店が同じ結論にたどりつきます。
問題は掲載料ではなく、2回目につながっていないこと。
新規は取れているのに再来店率が20〜30%にとどまっているなら、掲載をやめても状況は変わりません。むしろ新規の入口を失うだけです。この場合にやるべきは、掲載終了ではなく再来店率の改善です(リピートしない理由と対策)。
逆に、再来店率は悪くないのに1人あたりコストが高すぎる場合は、費用側の見直しに意味があります。
2. やめる前に必ず準備する三つのこと
数字を確認したうえで、それでも掲載を減らす・やめる方向に進む場合、次の三つを掲載を続けているうちに済ませてください。順序を逆にすると、取り返しがつきません。
準備1:お客様との連絡手段を自店で持つ
これが最も重要です。媒体経由で来ていたお客様に、掲載終了後どうやって連絡するのか。ここが用意できていないまま掲載を終えると、それまで積み上げたお客様との接点が消えます。
具体的には、会計時に自店の予約窓口(LINE公式アカウントなど)へ登録していただき、次回からはそこから予約できることをお伝えします。
伝え方は「登録してください」ではなく、お客様の利点を先に言うほうが効果があります。
- 「次回から24時間いつでも予約できます」
- 「空き状況がその場で見られます」
この一手間があるかないかで、掲載終了後に残るお客様の数がまったく違います。詳しくは LINE公式アカウントの友だちを増やす方法 をご覧ください。
準備2:予約の受け皿を用意する
媒体で予約していたお客様が、次はどこから予約するのかを決めておきます。
電話だけに戻すのは避けてください。営業時間外や施術中は電話に出られず、その分の予約を取りこぼします。24時間予約を受けられる手段を用意しておくことが前提になります。
予約システムの選び方は 美容室の予約システム にまとめています。
準備3:媒体以外の入口を育てる
新規の入口が媒体だけの状態でやめると、新規がゼロになります。次のような入口を、掲載中に育てておいてください。
Googleビジネスプロフィール(地図検索) 「地域名+美容室」で探す方に見つけてもらう入口です。費用がかからないうえ、口コミも積み上がります(Googleビジネスプロフィールの活用)。
既存のお客様からの紹介 最も費用がかからず、定着率も高い入口です。
SNS 続けられる範囲で。更新が止まると逆効果になるため、無理のない頻度を決めてください(Instagram集客)。
これらが育つには時間がかかります。掲載を続けながら並行して育てるのが現実的です。
3. 掲載終了の手順と、押さえておく締切
契約書を先に開く
やめると決める前に、契約内容を確認してください。確認するのは三つです。
- 契約期間(いつからいつまでか)
- 解約の申し出期限(更新の何か月前までに申し出る必要があるか)
- 期間途中で解約できるか(できる場合の条件)
この期限を過ぎると、意図しないまま次の期間に入ります。やめるかどうか迷っている段階でも、期限だけは先に確認しておいてください。
時期を選ぶ
売上が落ちても耐えられる時期を選びます。繁忙期の直前にやめると、最も新規が取れる時期を逃します。逆に、閑散期に切り替えれば影響を抑えられます。
掲載情報の扱いを確認する
媒体上に蓄積した口コミやスタイル写真が、掲載終了後どうなるかを確認しておきます。ここは契約や媒体の運用によるため、担当者に直接確認してください。
同時に、自店で管理できる場所に口コミを積み上げておくことをお勧めします。Googleビジネスプロフィールの口コミは自店の資産として残ります。
段階的に下げるという選択
いきなり掲載終了ではなく、プランを一段ずつ下げて影響を測る方法もあります。この場合、下げるたびに3か月は効果を測ってください。
- 新規が何人減ったか
- 1人あたりコストがどう変わったか
- 売上への影響はどれくらいか
この記録があれば、次の判断が楽になります。
4. やめた後に実際に起きること
正直にお伝えします。掲載をやめると、次のことが起きます。
媒体経由の新規はゼロになる 当然ですが、影響は想像より大きく感じられます。準備2・準備3ができていないと、売上に直撃します。
既存のお客様のうち、連絡手段のない方とは切れる 準備1をやっていないと、ここで多くのお客様を失います。
しばらくは新規が少ない時期が続く 地図検索や紹介が育つには時間がかかります。数か月は我慢の時期になります。
割引目当ての層が来なくなる これは良い面でもあります。通常価格で来ていただけるお客様の比率が上がり、客単価は改善する傾向があります。
現場の負担が減る 媒体の管理画面の更新作業や、クーポン設計の手間がなくなります。
やめる判断そのものが間違いというわけではありません。準備なしにやめることが問題なのです。
5. 「やめない」という選択肢
最後に、あえてこの選択肢も挙げておきます。
媒体は、新規獲得の手段としては効率的な仕組みです。自力で同じ人数の新規を集めようとすれば、広告費や手間は決して安くありません。
現実的な着地点は、多くの場合こうなります。
やめるのではなく、依存度を下げる。 新規の入口としては使い続け、2回目以降は自店の予約に切り替える。
この形にすれば、新規は媒体から得ながら、同じお客様に繰り返し費用を払う状態はなくなります。媒体経由の売上比率が下がれば、値上げにも順位変動にも振り回されにくくなります。
「使い分け」の設計は LINE予約とホットペッパーの使い分け に詳しくまとめています。
6. よくある質問(FAQ)
Q. 掲載をやめたら新規はどれくらい減りますか? A. 媒体経由の新規はゼロになります。現在の新規のうち媒体経由が何割かを確認してください。8割を超えているなら、依存度が高すぎる状態です。すぐにやめるのは危険なので、まず依存度を下げることから始めてください。
Q. 掲載を止めると口コミはどうなりますか? A. 媒体上の口コミやスタイル写真の扱いは、掲載終了後どうなるかを担当者に確認してください。あわせて、Googleビジネスプロフィールなど自店で管理できる場所に口コミを積み上げておくと、媒体の状況に左右されにくくなります。
Q. 一度やめて、また掲載を再開できますか? A. 再開自体は可能ですが、条件(プラン・料金)が以前と同じとは限りません。再開の可能性を残すなら、担当者との関係は良好に保っておくほうが有利です。
Q. 「やめます」と伝えれば値下げしてもらえますか? A. 交渉手段として語られることがありますが、勧められません。本当に止まったときに困りますし、関係が悪くなれば長期的に損をします。値下げを引き出すより、依存度を下げて交渉に頼らない状態を作るほうが確実です。
Q. 掲載をやめる前に、どれくらいの準備期間が必要ですか? A. 依存度によります。媒体経由が新規の8割を超えている場合、連絡手段の確保と別の入口を育てるのに半年から1年は見てください。焦って止めるより、その間に依存度を下げるほうが結果的に早く安定します。
Q. プランを下げるのと、やめるのはどちらが先ですか? A. プランを下げるのが先です。段階的に下げて影響を測れば、どこまでなら耐えられるかがわかります。いきなり終了すると、影響の大きさを測る機会がないまま元に戻せなくなります。
7. まとめ
- 「やめたい」と思ったら、まず新規1人あたりの実質コストを計算する
- 多くの場合、問題は掲載料ではなく2回目につながっていないこと
- やめる前の準備は三つ。連絡手段の確保/予約の受け皿/媒体以外の入口
- 契約書で解約の申し出期限を先に確認する(迷っている段階でよい)
- いきなり終了せず、プランを段階的に下げて影響を測る
- 現実的な着地点は「やめる」ではなく「依存度を下げる」
費用の全体像と判断基準は ホットペッパービューティーの費用、手数料の仕組みは 送客手数料の仕組み をあわせてご覧ください。
