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美容室のアプリ制作・維持費用の全体像|見積書に出てこない5つの費用

見積書に載る費用は5層のうち2層だけです。ストア維持費・改修費・運用工数を含めた3年総額で比べる方法をまとめました。

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美容室のアプリ制作・維持費用の全体像|見積書に出てこない5つの費用

サロン向けアプリの見積書を見て「これで全部ですか」と聞ける方は、あまり多くありません。項目名が専門的で、何が含まれていて何が含まれていないのかが読み取りにくいからです。

この記事では、実際に発生する費用を5つの層に分けて、見積書に出てこないものまで含めて並べます。金額は提供会社によって幅がありますので、目安として使い、最後は自店の見積書の数字で埋め直してください。

アプリを導入するかどうかの判断そのものは美容室に自社アプリは必要かにまとめています。この記事は、導入すると決めた、あるいは見積もりを取っている段階の方向けです。


1. 費用は5層に分かれる

内容発生の仕方見積書に載るか
①初期費用初期設定・デザイン・アイコン制作・データ移行一度きり載る
②月額利用料プラットフォーム利用料毎月載る
③ストア維持費Apple・Googleの開発者アカウント年1回/1回のみ載らないことがある
④改修費メニュー改定・料金改定・OS更新対応都度載らないことがある
⑤運用工数店頭案内・登録サポート・配信作成・問い合わせ対応毎月載らない(自店の人件費)

③④⑤を含めずに複数社を比較すると、必ず判断を誤ります。特に⑤は月額を上回ることがあります。


2. ①初期費用に含まれるもの

項目目安確認すべきこと
初期設定・アカウント開設0〜10万円無料をうたう場合、月額に上乗せされていないか
デザイン・テーマ適用0〜15万円テンプレートか、個別デザインか
アイコン・スプラッシュ画面0〜5万円ロゴがない場合、制作費が別途かかります
既存顧客データの移行0〜10万円件数上限があるか。文字化けの補正が含まれるか
初期研修0〜5万円訪問か、オンラインか、回数は何回か

顧客データの移行は、必ず事前に確認してください。紙の台帳しかない場合、入力作業が発生します。既存システムからのCSV移行でも、項目の対応表を作る作業が要ります。「移行は無料」と言われた場合、何件までか、どの項目までかを確認してください。


3. ②月額利用料の中身

プラン制が一般的です。公開されている一例として、ビューティーメリット(株式会社サインド)のENTRYプランは初期50,000円・月額20,000円という条件が各所で紹介されています(上位プランの価格は非公開です)。

月額に含まれるかどうか、社によって分かれる項目を挙げます。

項目含まれることが多い別料金のことがある
予約機能
プッシュ通知(基本)通数上限を超えると従量
ポイント・会員証
ネットショップ・決済○(決済手数料も別)
複数店舗の管理○(店舗数課金)
スタッフアカウント追加○(人数課金)
電話サポート

「月額◯円」という数字だけで比較しないでください。自店で使う機能を書き出し、それぞれが含まれるかを1つずつ確認します。


4. ③ストア維持費——公式に決まっている金額

自店名義でネイティブアプリをストアに出す場合、Apple・Googleへの支払いが発生します。これは提供会社ではなく、AppleとGoogleが定めている費用です。

金額支払い方
Apple Developer Program99米ドル/年毎年更新。支払いを止めるとアプリはストアから消えます
Google Play デベロッパー登録25米ドル1回のみ。更新料なし

出典はApple公式(登録について)Google Play Console ヘルプです。

登録の条件も確認が必要です

Appleの法人登録には、次が求められます。

  • 法人格(屋号・商号・架空事業名・支店名では登録できません)
  • D-U-N-S番号(Dun & Bradstreet社発行の9桁の番号。多くの地域で無料取得可)
  • 組織のドメイン名に紐づく仕事用メールアドレス
  • 公開され、正常に機能しているWebサイト(SNSページや内容の乏しいサイトは不可)
  • 組織を代表して契約を結ぶ法的権限を持つ登録者

個人事業の美容室が、屋号でApp Storeに出すことはできません。このため実務上は、提供会社の開発者アカウントの配下で公開される形が多くなります。

その場合、ストア維持費は自店負担ではなくなりますが、代わりに解約するとアプリがストアから消えます。どちらの名義で公開されるかは、契約前に必ず確認してください。


5. ④改修費——後から効いてくる項目

導入時には話題にならず、2年目以降に効いてくる費用です。

発生する場面頻度目安
メニュー・料金の改定年1〜2回0〜3万円/回
キャンペーン画面の追加随時0〜5万円/回
デザインのリニューアル数年に1回5〜30万円
iOS/Androidの大型更新への対応年1回程度0〜20万円
決済方式の変更対応数年に1回5〜20万円

OSの更新対応が月額に含まれるかどうかは、必ず書面で確認してください。スマートフォンのOSは毎年更新され、対応しないとアプリが起動しなくなることがあります。「含まれます」と口頭で言われた場合も、契約書のどこに書いてあるかを確認してください。


6. ⑤運用工数——最も見落とされる費用

金銭のやりとりが発生しないため見積書に出ませんが、実際には最も大きい費用であることがあります。

作業頻度時間の目安
会計時のご案内・登録サポート来店ごと1〜3分/人
配信内容の作成月2〜4回30〜60分/回
ポイント・クーポンの設定月1回30分
お客様からの問い合わせ対応随時都度
数字の確認・改善月1回60分

たとえば月200人の来店があり、1人2分の案内をすると月400分(約6.7時間)です。時給1,500円換算で月1万円。月額と同じ規模の費用が、目に見えない形でかかっていることになります。

これは「無駄」という意味ではありません。案内しなければアプリは使われない(店舗アプリを思い出すきっかけの1位は「店員の声掛け」で23.3%/MMD研究所2024年)ので、必要な作業です。ただし、費用として計算に入れておく必要があります。


7. 3年間の総額で比べる

判断に使える形にまとめます。自店の見積書の数字で、この表を埋めてみてください。

ネイティブアプリ(例)LINEミニアプリ中心(例)LINE公式アカウント中心(例)
①初期費用50,000円0〜50,000円0円
②月額×36か月720,000円360,000円180,000円
③ストア維持費×3年約45,000円0円0円
④改修費(想定)100,000円50,000円0円
小計(3年)約915,000円約435,000円約180,000円
⑤運用工数(月1万円換算×36)360,000円360,000円360,000円
総額(3年)約1,275,000円約795,000円約540,000円
単価7,668円換算約166人分約104人分約70人分

※単価は美容センサス2025年上期の女性平均7,668円で換算しています。金額はプランにより変わります。

一番下の行が判断材料です。3年で166人分、年に換算して約55人分の売上を、アプリ経由で追加で生み出せるか。この問いに答えられれば、判断は済んでいます。


8. 見積もりを取るときの手順

  1. 自店で使う機能を先に書き出す(予約/ポイント/配信/ネットショップ/会員ランク)
  2. 3社以上から、同じ機能構成で見積もりを取る
  3. ③④⑤を含めた3年総額の表を、社ごとに作る
  4. 最低契約期間と途中解約の条件を確認する
  5. 顧客データのCSV出力可否を確認する乗り換え時のデータ移行

聞くべき質問の全リストは美容室に自社アプリは必要かの第8章にまとめてあります。


8-1. 見積書を受け取ったときの確認手順

書式は会社ごとに違いますが、確認する順番は同じです。

見る場所確認すること
1合計金額初期と月額が分かれているか
2初期費用の内訳データ移行が含まれるか。件数の上限はあるか
3月額の内訳使う予定の機能がすべて含まれるか
4欄外・注記「別途」「実費」「応相談」の文字を探す
5契約期間最低契約期間と、途中解約の条件
6記載がない項目ストア維持費・OS更新対応・改修費が書かれているか

6が最も重要です。書かれていない費用は、後から発生します。「見積書に記載のない費用は発生しませんね」と一文もらっておくと確実です。

8-2. 費用を抑える3つの方法

  1. 形式を変える。ネイティブアプリではなくLINEミニアプリやLINE公式アカウントにすると、初期費用・月額・ストア維持費がいずれも下がります。ホーム画面のアイコンが不要なら、この選択が最も効きます
  2. 機能を絞る。使わない機能を外すだけでプランが下がることがあります。導入時に「全部入り」を選んで、実際は予約とポイントしか使っていない、というケースはよくあります
  3. 運用工数を減らす。配信を月1回に固定し、案内を定型化すると、見えない費用が下がります。ここは月額より大きいことがあります

9. よくある質問(FAQ)

Q1. 美容室のアプリ制作費用の相場はいくらですか。 A. サロン向けのサービスを使う場合、初期費用が0〜30万円程度、月額が0.5〜5万円程度が目安です。これに加えて、自店名義でストアに出す場合はApple Developer Programの年間99米ドルとGoogle Playの25米ドル(1回のみ)、メニュー改定などの改修費、店頭で案内する人件費が発生します。3年総額では、ネイティブアプリで100万円前後になることがあります。

Q2. アプリを自作すれば安くなりますか。 A. ゼロから開発する場合、外注では数百万円規模になることが一般的で、サロン向けサービスを使うより高くつきます。加えて、OSの更新に合わせた改修を自前で続ける必要があります。費用を抑えたい場合は、開発ではなくLINEミニアプリやLINE公式アカウントを検討するほうが現実的です。

Q3. 月額が無料のサービスもありますが、大丈夫ですか。 A. 無料の範囲でどこまでできるかを確認してください。予約件数の上限、配信通数の上限、顧客登録数の上限が設定されていることが多く、実際に運用を始めると有料プランが必要になる設計が一般的です。無料の範囲と、超えた場合の金額を先に確認しておけば問題ありません。

Q4. Apple Developer Programの99米ドルは誰が払うのですか。 A. 提供会社の開発者アカウントで公開する場合は、通常は提供会社の負担です。自店名義で公開する場合は自店の負担になります。どちらの名義かで解約時の結果も変わりますので、契約前に確認してください。

Q5. 途中で解約したら初期費用は返ってきますか。 A. 一般に返金されません。また、最低契約期間が設定されていることが多く、期間内の解約には違約金が発生する場合があります。契約書の該当箇所を、署名前に確認してください。

verified出典・参考

制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。

この記事について

LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。

記事の内容は掲載時点の情報です。仕様や料金は各サービスの公式情報をあわせてご確認ください。 何を根拠に書き、どの分野は専門家にご確認いただきたいかは編集方針に記載しています。 運営会社について

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