美容師の退職・独立のご挨拶 例文|店頭・DM・LINE・SNSの文面と、避けたい言い方
担当していたお客様への退職・独立のご挨拶を、店頭・お店のDMやLINE・自分のSNSの場面ごとに例文で紹介します。ご挨拶の前にお店と決めておくこと、「どこに行くの?」と聞かれたときの答え方、避けたい言い方もまとめました。
お店を辞めるとき、担当していたお客様にどうご挨拶するかは、多くの美容師が迷うところです。きちんとお伝えしたい気持ちと、お店に迷惑をかけたくない気持ちの両方があるからです。
この記事では、退職・独立のご挨拶を、伝える場面ごとに例文で紹介します。あわせて、トラブルにならないために、ご挨拶の前に決めておくことと、避けたい言い方をまとめました。
先に結論
- ご挨拶の前に、時期・後任・新しいお店の話をどこまでしてよいかを、勤め先と相談して決めます(1章)。
- お店のお客様への連絡は、お店の名義で、お店の了承を得て行います。お店の名簿を使って新しいお店を案内するのは避けます(3章)。
- 在職中に新しいお店へ誘ったり、名刺を渡したりしないことが大切です。実際に賠償を命じた判決があります(6章)。
- 新しいお店のお知らせは、退職後に、自分の発信で行います(5章)。
法律面の詳しい考え方は、美容師が独立するとき、お客様をどうするかにまとめています。
1. ご挨拶の前に、お店と決めておくこと
ご挨拶の文面を考える前に、勤め先のお店と次のことを相談して決めておきます。
| 決めること | 理由 |
|---|---|
| お客様にお伝えする時期 | 早すぎると、退職までの間のお店の予約に影響する |
| 後任の担当者 | お客様がいちばん心配するのは「次は誰に頼めばいいか」 |
| 新しいお店の話をどこまでしてよいか | 在職中の勧誘と受け取られないようにする |
| お店から連絡するか(DM・LINEなど) | お客様の連絡先はお店のもの。使うかどうかはお店が決める |
ここで決めたことは、店長やオーナーとの間で文字に残しておくと、後で「言った・言わない」になりません。
2. 店頭で直接お伝えするときの例文
いちばん丁寧なのは、ご来店のときに直接お伝えすることです。施術の最後、お会計の前など、落ち着いて話せるタイミングを選びます。
退職をお伝えする(後任をご紹介する)
実は、○月末でこのお店を退職することになりました。いつもご指名いただいていたのに、急なお知らせで申し訳ありません。
次回からは、○○が担当させていただきます。○○様の髪質や、いつものスタイルのことはしっかり引き継いでおきますので、ご安心ください。
これまで本当にありがとうございました。
ポイント:お客様の不安は「次はどうなるのか」です。後任の名前と、引き継ぎをすることを必ず添えます。
次のご来店がもう無いかもしれないお客様に
○○様、今日もありがとうございました。○月末で退職することになり、私が担当させていただくのは今日が最後になるかもしれません。
長い間ご指名いただき、本当にありがとうございました。次回からは○○がしっかり担当しますので、これからも当店をよろしくお願いいたします。
3. お店から送るDM・LINEの例文(お店名義)
お店がDMやLINEでのお知らせを認めた場合は、お店の名義で、後任のご紹介を中心に送ります。お店のアカウントや名簿を使う以上、新しいお店の案内は入れません。
お店のLINEで送る例文
いつも○○(店名)をご利用いただき、ありがとうございます。
スタイリストの○○が、○月○日をもちまして退職することになりました。在籍中は大変お世話になり、ありがとうございました。
○○をご指名いただいていたお客様は、○月以降は○○が担当させていただきます。これまでのご来店の内容はすべて引き継いでおりますので、安心してご予約ください。
今後とも○○をよろしくお願いいたします。
はがき・DMの例文
拝啓 ○○の候、○○様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は○○(店名)をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
さて、当店スタイリストの○○は、○月○日をもちまして退職いたします。在籍中に賜りましたご厚情に、心より御礼申し上げます。
なお、○月以降は○○が担当させていただきます。これまでのご来店の内容は引き継いでおりますので、ご安心ください。
今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
4. お客様に「どこに行くの?」と聞かれたときの答え方
いちばん迷うのがこの場面です。答え方は、1章でお店と決めた範囲に合わせます。在職中は、こちらから新しいお店に誘わないことを基本にします。
新しいお店の話をしないと決めた場合
ありがとうございます。そう言っていただけて本当にうれしいです。
退職後のことは、落ち着いたら自分のSNSでお知らせしようと思っています。
独立することだけはお伝えしてよいと決めた場合
ありがとうございます。実は、少し先になりますが、自分のお店を持つ準備をしています。
詳しいことは、退職して落ち着いてから、自分のSNSでお知らせする予定です。
ポイント:在職中に、お店の中で、新しいお店の店名・場所・連絡先を伝えたり、名刺を渡したりしないことです。
5. 退職後に自分の発信で伝える例文
新しいお店のお知らせは、退職した後に、自分のSNS・ホームページ・新しいお店のLINEなどで行います。お客様が自分で見つけて、自分の意思で選べる形にするのが基本です。
SNSでのお知らせ
○月末で、○○(前の店名)を退職しました。○年間、たくさんのお客様に支えていただき、本当にありがとうございました。
このたび、○○(地名)に自分のお店「○○」を開くことになりました。オープンは○月○日です。
一人ひとりのお客様と、ゆっくり向き合えるお店にしたいと思っています。ご予約は、プロフィールのリンクから受け付けています。
ポイント:前のお店への感謝から書き始めます。前のお店の悪口や、比べるような言い方は書きません。
新しいお店のLINEに友だち登録してくださった方へ
○○(新しい店名)の○○です。友だち登録していただき、ありがとうございます。
このLINEで、ご予約とご来店前のご相談を受け付けています。ご希望のスタイルやお悩みがあれば、写真と一緒に気軽にお送りください。
初めてご来店いただく日を、楽しみにお待ちしています。
6. 避けたい言い方と行動
| 避けたいこと | 理由 |
|---|---|
| 在職中に、施術しながら新しいお店に誘う | 雇用中の誠実義務違反とされた判決がある |
| 在職中に、新しいお店の名刺を渡す | 同上。判決の事案でも名刺の交付が挙げられた |
| お店の名簿・カルテ・業務で使った連絡先で新しいお店を案内する | お店の個人情報。法律上の責任を問われることがある |
| 「前のお店より安くします」などと誘う | 前のお店とのトラブルのもとになる |
| 前のお店やスタッフの悪口を言う | お客様が気まずくなり、信頼を損なう |
大阪地裁の判決(令和8年1月29日)では、雇用されている間に近くで自分のお店を開き、施術中に開店や店名をお客様に伝え、新しいお店のLINEアカウントを書いた名刺を渡した人について、雇用契約に伴う誠実義務に反するとして、賠償が命じられました。
7. 新しいお店では、ご挨拶の後のつながり方を決めておく
ご挨拶で大切なのは、お客様に「この人のお店に行ってみたい」と思っていただくことです。そのうえで、新しいお店に来てくださった方とは、1人目から自分のお店の仕組みでつながるようにしておきます。予約・カウンセリング・カルテ・次回のご案内をお店のLINEで受けておけば、開業初日からの記録がすべて残ります。
私たちが提供しているLIKEは、お店のLINE公式アカウントで予約・カウンセリング・カルテ・次回のご案内をまとめられる仕組みです。開業と同時に始める方法は、開業と同時にLIKEを始めるをご覧ください。
8. よくある質問
Q1. お客様に退職を伝えるのは、いつ頃がよいですか。 A. お店と相談して決めます。退職日までにご来店の予定があるお客様には、ご来店のときに直接お伝えするのがいちばん丁寧です。早すぎると退職までの予約に影響するので、お店の予定に合わせてください。
Q2. 個人のLINEでつながっているお客様に、独立をお知らせしてもよいですか。 A. お店の業務のためにつながった連絡先は、自分しか使えないものでも、お店の個人情報データベース等に当たり得ます(個人情報保護委員会 Q&A 1-37)。新しいお店の案内に使うのは避け、自分のSNSなど、お客様に見つけていただける発信でお知らせしてください。
Q3. お客様から新しいお店の連絡先を聞かれたら、教えてもよいですか。 A. 在職中は、お店と決めた範囲で答えます。施術中に店名を伝え、新しいお店のLINEアカウントを書いた名刺を渡したことが、雇用中の誠実義務違反とされた判決があります。「退職後に自分のSNSでお知らせします」と答えるのが安全です。
Q4. 退職のご挨拶状は、手書きのほうがよいですか。 A. お店の名義で送るDMは、お店の方針に合わせます。自分のお店を開いた後のご挨拶は、手書きのひと言を添えると気持ちが伝わります。
9. まとめ
- ご挨拶の前に、時期・後任・新しいお店の話をどこまでしてよいかをお店と決め、文字に残す
- 店頭では、退職のお知らせと後任のご紹介をセットでお伝えする
- お店から送るDM・LINEはお店の名義で、後任のご紹介を中心にする
- 在職中は、新しいお店に誘わない・名刺を渡さない
- 新しいお店のお知らせは、退職後に、自分の発信で行う
出典・参考
- 大阪地方裁判所 令和8年1月29日判決(令和6年(ワ)第5586号) 雇用中の開店・施術中の案内・名刺の交付を誠実義務違反と認定(10万8000円)、業務委託の者については顧客の選択によるもの
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索) 第24条(従業者の監督)、第179条(従業者であった者による個人情報データベース等の不正な提供・盗用の罰則)
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」 Q1-37(従業者本人しか使えないアドレス帳・名刺でも、業務に使っていれば事業者の個人情報データベース等に当たり得る)、Q1-38(業務で使う携帯電話の電話帳)
制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。
この記事について
LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。
構成は編集部で組み、下書きの作成には文章生成AIを利用しています。 数値と制度の記述は一次情報にあたって確認し、編集担当(山本)が内容を確認してから公開しています。
発行 — 株式会社SALON CONCIERGE(2018年2月13日設立) 発行責任者 — 代表取締役 久保 佑太 所在地 — 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-34-15 新宿エステートビル9F-A
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