顧客管理

美容室のクレーム対応|その場での型・記録の残し方・再発を防ぐ仕組み

お申し出をくださるお客様は、まだ関係が切れていません。その場での対応4つの順番、内容別(仕上がり・肌トラブル・料金の行き違い)の扱い、口コミに書かれたときの返信、記録の残し方、そして起きにくくする仕組みまでまとめました。

読了 約9分
美容室のクレーム対応|その場での型・記録の残し方・再発を防ぐ仕組み

「思っていた仕上がりと違う」「予約の時間が違っていた」——どんなに気をつけていても、お申し出はゼロにはなりません。

大切なのは起きたときにどう向き合うかと、同じことを繰り返さない仕組みです。この記事は、その場での対応の型と、記録の残し方、再発を防ぐ手順をまとめたものです。

先に、いちばん大事なことをお伝えします。

お申し出をくださるお客様は、まだ関係が切れていません。 本当に見切りをつけた方は、何も言わずに来なくなります。そう考えると、お申し出は関係を続けるための最後の機会でもあります。

1. その場での対応——4つの順番

順番を間違えると、収まるものも収まりません。

やることやってはいけないこと
1最後まで聞く途中で説明を挟む
2不快な思いをさせたことを詫びる何も認めないまま謝る/全面的に非を認める
3事実を確認する記憶だけで話す
4どうするかを提案するその場で即断して後で覆す

1. 最後まで聞く

途中で「でも」「実は」を挟まないでください。言い分をすべて出していただくだけで、温度が下がることがあります。

メモを取りながら聞くのも有効です。「ちゃんと聞いてもらえている」と伝わりますし、あとで事実確認に使えます。

2. 詫びる範囲を分ける

ここが最も難しいところです。「不快な思いをさせたこと」への謝罪と、「非を全面的に認めること」は別です。

「そのようなお気持ちにさせてしまい、申し訳ございません。詳しくお聞かせいただけますか。」

事実関係がまだ分からない段階で「こちらのミスです」と言い切ると、後で事実が違った場合に収拾がつかなくなります。気持ちへの謝罪を先に、事実の確認はそのあとです。

3. 事実を確認する

  • 予約の記録(日時・メニュー・担当)
  • カルテの記載(前回の施術内容、伝えた内容)
  • その場にいたスタッフの認識

記録が残っていないと、ここで詰まります。 「言った・言わない」になると、どちらも納得できません。カルテの整備が効いてくるのはこの場面です。

4. 提案する

その場で即断しないこと。 「確認して、明日までにご連絡します」と伝えるのは逃げではありません。誤った即断のほうが後を引きます。

ただし、いつまでに連絡するかは必ず約束してください。「後ほど」では不安が残ります。

2. 内容別の対応

仕上がりへのお申し出

最も多い種類です。

状況対応の目安
施術直後、その場ですぐお直しする。追加料金はいただかない
数日後のご連絡お直しの期間を決めておく(例:1週間以内は無料)
期間を過ぎている状況を聞いたうえで判断。一律に断らない
明らかに好みの問題次回のカウンセリングで詰める形にする

お直しの期間を先に決めて、伝えておくのが要点です。決めていないと、そのつど判断がぶれます。

施術による損傷・肌トラブル

この種類だけは扱いが違います。

  1. まずお客様の状態を確認する
  2. 必要なら医療機関の受診をおすすめする(費用の扱いは後で決める)
  3. 使用した薬剤・施術内容・時間をすべて記録する
  4. 加入している保険の内容を確認する

美容室向けの賠償責任保険に加入している場合、事故の連絡には期限があることがあります。契約内容を確認しておいてください。

自己判断で「大丈夫です」と言わないこと。医学的な判断は美容師の役割ではありません。

予約や料金の行き違い

記録がすべてです。予約の記録・料金表・当日の説明のどこで食い違ったかを確認します。

こちらの記録が正しくても、伝わっていなければ行き違いは起きます。 記録を盾に押し切るより、「分かりにくい伝え方でした」と受け止めて、表示や説明を直すほうが再発を防げます。

スタッフの接客について

その場で本人を叱らないでください。 お客様の前でスタッフを叱ると、お客様も気まずくなり、スタッフは次から報告しなくなります。

対応は責任者が引き取り、本人とは後で別に話します。

3. 口コミに書かれた場合

低い評価が書かれたときの対応です。

返信は書いてください。 返信は書いた本人だけでなく、これから見る人に向けたものです。

することしないこと
事実関係の説明は簡潔に長文で反論する
改善した点を書く相手の記憶違いを指摘する
個別対応を申し出る個人情報に触れる
落ち着いた文体感情的な言葉
「このたびはご期待に沿えず申し訳ございませんでした。いただいたご指摘をもとに、カウンセリングの手順を見直しました。よろしければ一度ご連絡いただけますと幸いです。」

事実と異なる内容が書かれている場合でも、公開の場での反論は避けてください。ほとんどの場合、読む人には「言い争い」としか映りません。事実関係の確認は個別のご連絡で行います。

返信の書き方は口コミへの返信例文にまとめました。

4. 記録の残し方

その場が収まっても、記録がないと再発します。

記録する項目なぜ
日時・お客様・担当傾向が見えます
内容(お客様の言葉のまま)要約すると本質が消えます
その場の対応判断のぶれを防ぎます
最終的な結果未解決のまま流れるのを防ぎます
再発防止として決めたことこれが無いと同じことが起きます

「お客様の言葉のまま」が重要です。 「仕上がりに不満」と要約すると、「前回と同じにしてと言ったのに長さが違った」という具体が失われます。具体がないと直せません。

月に一度、まとめて見返してください。同じ種類が続いていれば、それは個人の問題ではなく仕組みの問題です。

5. 起きにくくする仕組み

対応より、起きにくくするほうが労力は小さくて済みます。

カウンセリングで揃える

仕上がりへのお申し出の多くは、施術前の認識のずれから生まれます。

  • 写真で確認する(言葉だけだと人によって解釈が違います)
  • できることとできないことを先に伝える(履歴やダメージの状態で限界があります)
  • 所要時間と料金を先に伝える

「できません」を先に言うほうが、後で揉めません。

記録を残す

前回何をしたか、何を伝えたかが分かる状態にしておきます。これがあると、事実確認が「記憶の突き合わせ」になりません。

項目は顧客カルテ テンプレート、台帳は顧客台帳テンプレートをお使いください。

料金表を分かりやすくする

料金の行き違いは、多くが表記の分かりにくさから起きます。「〜」で幅を持たせた価格、条件の多い価格は避けてください。

初回のサロン選びで「料金が明確」を重視する方は女性25.3%(第3位)というデータもあります。 (出典:リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期」)

予約の行き違いを減らす

日時の食い違いは、予約の確定をお客様の手元に残すことで大きく減ります。口頭だけだと双方の記憶に頼ることになります。

6. お申し出のあとにやること

対応が終わって、そこで終わりにしないでください。

多くの場合、そのお客様は次の来店をためらっています。 こちらから何もしなければ、そのまま失客します。

  • 対応から数日後に、一言ご連絡する(謝罪の繰り返しではなく、その後の様子をうかがう)
  • 次回のご予約を無理に取らない
  • 記録に残し、次回来店時に担当が把握している状態にする

次に来てくださったときに、何も知らない状態で迎えるのが最も避けたいことです。

7. スタッフとの向き合い方

お申し出があったスタッフへの対応で、店の空気が決まります。

責めると報告しなくなります。 報告が上がらなくなると、店として気づくのが遅れ、対応も遅れます。

することしないこと
事実を一緒に確認する本人だけの責任にする
仕組みで防げないか考える「気をつけて」で終わらせる
対応の型を共有する個人の判断に任せる
報告してくれたことを認める報告そのものを責める

「気をつけます」で終わった再発防止は、必ず再発します。 カウンセリングの手順を変える、確認の項目を足すなど、行動が変わる形にしてください。

8. そのまま使える言い回し

迷いやすい場面の言い方を置いておきます。そのまま使うより、店の言葉に直してお使いください。

最初のひとこと

「お知らせいただき、ありがとうございます。詳しくお聞かせいただけますか。」

気持ちへの謝罪(事実確認の前)

「そのようなお気持ちにさせてしまい、申し訳ございません。」

すぐに答えを出せないとき

「担当と施術の記録を確認したうえで、明日◯時までにご連絡いたします。それまでお時間をいただけますでしょうか。」

お直しをご提案するとき

「よろしければ、気になるところを直させていただけませんか。もちろん追加のお代はいただきません。」

ご要望に応じられないとき

「申し訳ございません、そちらはお受けできかねます。かわりに◯◯でしたらご用意できますが、いかがでしょうか。」

断るときは、必ず代わりの案を添えてください。 断るだけだと、行き場がなくなります。

対応が終わったあとの連絡

「先日はご不便をおかけいたしました。その後、お変わりございませんでしょうか。」

謝罪を繰り返さず、様子をうかがう形にするのが要点です。

使わないほうがよい言い方

避ける理由
「そういう決まりですので」事情を聞く姿勢が伝わりません
「他のお客様からは言われたことがなくて」「あなたが特別」という意味になります
「担当が不慣れで」スタッフを下げても解決しません
「気のせいではないでしょうか」感じ方を否定してはいけません

9. まとめ

  • お申し出をくださる方は、まだ関係が切れていない。 黙って離れる方のほうが多い
  • その場の順番は①最後まで聞く ②気持ちに詫びる ③事実を確認 ④提案する
  • 気持ちへの謝罪と、非を認めることは分けて考える
  • 損傷・肌トラブルだけは別扱い。受診をすすめ、記録し、保険の内容を確認する
  • 口コミへの返信はこれから見る人に向けて書く。公開の場で反論しない
  • 記録はお客様の言葉のまま。要約すると直せなくなる
  • 起きにくくするのはカウンセリング・記録・分かりやすい料金表・予約の確定
  • スタッフを責めると報告が上がらなくなる

なお、損害賠償や法的な対応が必要な場面では、弁護士など専門家にご相談ください。当編集部は制度の仕組みと確認先をお伝えするところまでを役割としています(編集方針)。

verified出典・参考

制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。

この記事について

LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。

記事の内容は掲載時点の情報です。仕様や料金は各サービスの公式情報をあわせてご確認ください。 何を根拠に書き、どの分野は専門家にご確認いただきたいかは編集方針に記載しています。 運営会社について

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