管理美容師が必要になるのはいつ?|「常時2人以上」の考え方・なれる人・講習会・仕事の内容
美容師が常時2人以上いる美容室には、管理美容師を置く必要があります。必要になる条件と人数の数え方、なれる人の要件、講習会の日程と受講料、管理美容師の仕事を、美容師法と国・自治体の資料をもとにまとめました。
スタッフを1人雇うとき、確認しておきたいのが「管理美容師」です。美容師が常時2人以上いる美容室には、管理美容師を置かなければなりません。置いていないと、お店の閉鎖を命じられることもあります。
この記事では、管理美容師が必要になる条件、なれる人、講習会、仕事の内容を、美容師法と施行規則の条文、国と自治体の資料をもとに整理します。
先に結論
- 管理美容師が必要なのは、美容師である従業者が常時2人以上の美容所です(美容師法第12条の3)。美容師が1人だけの店は不要です。
- なれるのは、免許を受けてから3年以上美容の業務に従事し、講習会を修了した人です。開設者本人も、要件を満たせば1店舗の管理美容師になれます。
- 講習会は合計18時間以上で、年に数回しか開かれません。スタッフを雇う時期から逆算して申し込みます(4章)。
- パート・業務委託・面貸しの美容師を人数に数えるかは、公式に示されたものが見当たりません。管轄の保健所に確認してください(2章)。
1. 管理美容師が必要になる条件
美容師法第12条の3第1項は、次のように定めています。
美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。
ポイントは3つです。
- 美容師の人数で決まる:受付など、美容師免許のないスタッフは数に入りません(そもそも美容師でなければ美容を業として行えません。同法第6条)
- 「常時」2人以上:たまたまその日だけ2人いる、という状態ではなく、ふだんの体制で判断します
- 美容所ごと:2店舗あれば、それぞれに管理美容師が必要です
置くべきなのに置いていない場合、都道府県知事は期間を定めてお店の閉鎖を命じることができます(同法第15条)。
2. 「常時2人以上」はどう数えるか
実際の相談で多いのが、「誰を人数に数えるのか」という疑問です。
| 体制 | 管理美容師 |
|---|---|
| 美容師が自分1人だけ | 不要。松山市の案内も「理容師・美容師が一人の場合は、管理者を置く必要はありません」としている |
| 美容師2人以上が正社員で働く | 必要 |
| 受付・事務など、美容師でないスタッフだけ増やした | 美容師の人数は増えないので、それだけでは必要にならない |
| 開設者本人(美容師)+美容師スタッフ1人 | 多くの自治体は「美容師が2人以上働く場合」と案内している。必要になると考えて準備し、保健所に確認する |
| パート・アルバイトの美容師がいる | 条文は雇用の形で区別していない。勤務の実態をもとに保健所に確認する |
| 業務委託・面貸しの美容師がいる | 公式の数え方は見当たらない。保健所に確認する |
開設者本人を数えるか、パートや業務委託をどう扱うかについて、国の通知や自治体のQ&Aで数え方をはっきり示したものは、今回調べた範囲では見つかりませんでした。自治体の案内は「2人以上の美容師が従事する美容所」(島根県)、「理容師及び美容師である従業者が2名以上在籍する場合」(大阪市)といった表現です。
判断に迷う体制のときは、管轄の保健所に確認してください。開設届や変更届には美容師全員の氏名を書くので(美容所開設届の書き方)、そのときに一緒に相談するのが確実です。
3. 管理美容師になれる人
美容師法第12条の3第2項は、管理美容師になれる人を次のように定めています。
管理美容師は、美容師の免許を受けた後三年以上美容の業務に従事し、かつ、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者でなければならない。
つまり、次の両方が必要です。
- 美容師免許を受けてから3年以上、美容の業務に従事した
- 都道府県知事が指定した管理美容師講習会を修了した
開設者本人が美容師で、この要件を満たしていれば、自分が主に管理する1店舗について、自分で管理美容師になれます(同条第1項ただし書き)。2店舗目からは、それぞれの店に別の管理美容師が必要です。
4. 管理美容師講習会
講習の内容
講習会の基準は、施行規則第23条で決まっています。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 公衆衛生 | 4時間以上 |
| 美容所の衛生管理 | 14時間以上 |
修了するときには、試験などで修了の認定を受け、修了証書が交付されます。この修了証書が、管理美容師の資格を証する書類になります。
日程・受講料・申し込み
講習会は、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが主催し、都道府県ごとに開かれています。自治体の案内では、次のような日程でした。
- 北海道(2026年度):6月30日〜7月2日の3日間。受講料20,000円
- 千葉県(2026年度):11月2日・9日・10日の3日間(連続した日程ではない)
受講するには、免許を受けた後3年以上業務に従事したことを示す業務従事証明書の提出が必要です。勤め先のお店に証明してもらう書類なので、独立する前に、今の職場で用意しておくと手間がかかりません。
講習会は年に数回しか開かれず、定員もあります。スタッフを雇う予定がある場合は、雇う時期から逆算して申し込んでください。
5. 管理美容師の仕事
管理美容師の役目は、法律上は美容所を「衛生的に管理」することです(同法第12条の3)。国の「理容所及び美容所における衛生管理要領」では、管理美容師が行うこととして次のことを挙げています。
- 毎日、従業者が感染症にかかっていないかを確認する
- 毎日、施設・設備・器具などの衛生全般を点検・管理する
- 従業者の衛生教育に努める
衛生の基準そのものは、美容師法と施行規則に定められています。
- お店を常に清潔に保ち、消毒設備を設け、採光・照明・換気を十分にする(同法第13条)
- 皮膚に接する器具は、お客様1人ごとに消毒する。消毒の方法も決まっている(同法第8条、施行規則第25条)
- 作業面の照度は100ルクス以上(施行規則第27条)
スタッフが増えると、全員が同じ手順で消毒や点検を行うことが大切になります。管理美容師は、その手順を決めて、毎日続ける役割です。
6. スタッフが2人になる前に準備すること
| 時期 | やること |
|---|---|
| 独立する前 | 今の職場で業務従事証明書を用意しておく |
| 雇う数か月前 | 管理美容師講習会の日程を確認して申し込む |
| 雇う前 | 開設者本人が管理美容師になるか、要件を満たすスタッフに任せるかを決める |
| 雇ったら | 保健所に変更届を出す。新しい美容師の医師の診断書と、管理美容師の修了証書を添える |
| 雇った後 | 消毒・点検の手順を書き出し、全員で同じやり方にする |
人数が増えるときにもう一つ決めておきたいのが、お客様の情報の共有の仕方です。担当が替わっても、前回の施術や好みがすぐに分かれば、お客様に同じことを何度も聞かずに済みます。
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7. よくある質問
Q1. 一人で美容室を開業する場合、管理美容師は必要ですか。 A. 必要ありません。管理美容師が必要なのは、美容師である従業者が常時2人以上の美容所です。ただし、将来スタッフを雇う予定があるなら、講習会の受講を早めに検討しておくと安心です。
Q2. 美容師になって2年目ですが、管理美容師講習会を受けられますか。 A. 受けられません。管理美容師になるには、免許を受けてから3年以上美容の業務に従事したことが必要です。受講の際は、その証明書を提出します。
Q3. 業務委託や面貸しの美容師も「2人以上」に数えますか。 A. 国の通知や自治体のQ&Aで、数え方をはっきり示したものは見当たりませんでした。勤務の実態によって判断が分かれる可能性があるので、管轄の保健所に確認してください。
Q4. 管理美容師を置かないとどうなりますか。 A. 置くべき美容所で置いていない場合、都道府県知事は期間を定めてお店の閉鎖を命じることができます(美容師法第15条)。
Q5. 管理美容師は、2店舗を兼ねられますか。 A. 開設者本人が管理美容師になれるのは、自分が主に管理する1店舗です(美容師法第12条の3第1項ただし書き)。2店舗目には、それぞれ別の管理美容師を置くことになります。
8. まとめ
- 管理美容師が必要なのは、美容師である従業者が常時2人以上の美容所。美容師1人の店は不要
- なれるのは、免許取得後3年以上の業務従事+講習会の修了の両方を満たす人
- 講習会は合計18時間以上。年に数回しか開かれないので、雇う時期から逆算して申し込む
- パート・業務委託・面貸しの数え方は公式に示されたものがない。保健所に確認する
- 置くべきなのに置かないと、閉鎖命令の対象になる
出典・参考
- 美容師法(e-Gov法令検索) 第6条(美容師でなければ業とできない)、第11条(開設の届出)、第12条(使用前の確認)、第12条の3(管理美容師)、第15条(閉鎖命令)、第18条(罰則)
- 美容師法施行規則(e-Gov法令検索) 第19条(開設届の記載事項と添付書類)、第20条(変更の届出)、第23条(管理美容師講習会の基準)、第25条(消毒の方法)
- 公益財団法人理容師美容師試験研修センター「受講資格・応募方法」 免許取得後3年以上の業務従事、業務従事証明書
- 北海道「令和8年度 管理理容師・管理美容師資格認定講習会」 2026年度の日程(3日間)と受講料20,000円
- 松山市「理容所・美容所の営業に関する基準等」(保存版パンフレット) 理容師・美容師が一人の場合は管理者を置く必要はない
- 島根県「美容所法令上の義務」 2人以上の美容師が従事する美容所には管理美容師を置く
- 大阪市「理容所・美容所」(手続き・届出) 申請手数料16,000円、診断書は1か月以内、登記事項証明書は3か月以内
- 厚生省環境衛生局長通知「理容所及び美容所における衛生管理要領について」(昭和56年 環指第95号) 管理美容師が毎日行う従業者の健康確認と施設・器具の点検
制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。
この記事について
LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。
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