美容所開設届の書き方と必要書類|診断書・提出時期・手数料と、税務署の開業届との違い
美容室を開くときに保健所へ出す美容所開設届について、書く事項・必要書類・提出時期・手数料を、美容師法と自治体の案内をもとに整理しました。2026年から期限が変わった税務署の開業届との違いも解説します。
美容室を開くときに保健所へ出すのが「美容所開設届」です。税務署に出す「開業届」と名前が似ていますが、出す先も目的も違う別の書類です。
この記事では、美容所開設届に何を書き、何を添えて、いつまでに出すのかを、美容師法と施行規則の条文、自治体の案内をもとに整理します。
先に結論
- 美容所開設届は保健所に、開設の前に出します。検査で確認を受けるまで、お店は使えません(美容師法第11条・第12条)。
- 届出書に書くことは、施行規則第19条で決まっています。添付が必須なのは、美容師全員の医師の診断書と、管理美容師を置く場合の資格を証する書類です(3章・4章)。
- 提出の時期・手数料・診断書の有効期間は自治体ごとに違います。名古屋市と文京区は「7日前まで」、手数料は16,000円〜24,000円でした(5章)。
- 税務署の開業届は、2026年1月1日以後の開業から期限が変わりました。今は「開業した年の確定申告期限まで」です(8章)。
1. 美容所開設届とは
美容所開設届は、美容室を開くことを都道府県知事(保健所を置く市・特別区では市長・区長)に届け出る書類です。窓口は保健所です。
美容師法は、届出と検査について次のように定めています。
- 第11条第1項:美容所を開設しようとする者は、美容所の位置、構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ届け出なければならない
- 第12条:構造設備について検査を受け、確認を受けた後でなければ、美容所を使用してはならない
届出をしなかったり、確認を受ける前にお店を使ったりすると、30万円以下の罰金の対象になります(同法第18条)。
税務署の「開業届」との違い
| 書類 | 出す先と目的 |
|---|---|
| 美容所開設届 | 保健所へ。美容所の場所・設備・美容師を届け出て、衛生面の検査を受ける。開設の前に出す |
| 個人事業の開業届 | 税務署へ。事業を始めたことを届け出る(税金の手続き)。期限は8章 |
美容所開設届は、個人でも法人でも、美容室を開くなら必ず必要です。開業届は、個人事業として始める場合の税金の手続きです。
2. 提出から営業開始までの流れ
自治体の案内をまとめると、流れはおおむね次のとおりです。
- 事前相談:物件の契約や工事の前に、図面を持って保健所に相談する
- 開設届の提出:届出書と添付書類を出し、手数料を払う
- 施設の検査:保健所の職員が来て、構造設備が基準どおりかを確かめる
- 確認済証の交付:基準を満たしていれば交付される
- 営業開始
いちばん大事なのは1の事前相談です。東京都の多摩小平保健所は「届出前(工事着工前)に保健所へご相談ください」と案内しています。作業室の面積や、いすの数え方は自治体によって違うためです(詳しくはシャンプー台・セット面の寸法と設置費用)。
3. 届出書に書くこと
届出書に書く事項は、美容師法施行規則第19条第1項で決まっています。
| 書く事項 | 書くときのポイント |
|---|---|
| 美容所の名称と所在地 | 看板に出す店名と、ビル名・階数まで含めた住所 |
| 開設者の氏名と住所 | 法人なら、法人の名称・所在地・代表者の氏名 |
| 管理美容師の氏名と住所 | 美容師が常時2人以上いる場合だけ(管理美容師が必要になるとき) |
| 構造と設備の概要 | 作業室の面積、いすの台数、洗場、消毒設備など。多くの自治体で別の様式がある |
| 美容師の氏名と登録番号、その他の従業者の氏名 | 登録番号は美容師免許証で確認する。受付など美容師以外の人も書く |
| 美容師の疾病の有無 | 結核、皮膚疾患その他の伝染性の病気がある場合は、その旨 |
| 開設予定年月日 | 検査と確認済証の交付に日数がかかるので、余裕を持った日にする |
様式は自治体ごとに用意されています。管轄の保健所のホームページからダウンロードするか、窓口で受け取ってください。
4. 必要書類
法令で添付が決まっているもの
施行規則第19条で、次の書類の添付が定められています。
- 医師の診断書:美容師全員分。結核、皮膚疾患その他の伝染性の病気の有無について書かれたもの(第2項)
- 管理美容師の資格を証する書類:管理美容師を置く美容所の場合(第3項)。講習会の修了証書など
- 住民票の写し:開設者が外国人の場合(第4項)
自治体が求めるもの
このほかの書類は、自治体の運用で決まっています。名古屋市・東京都文京区・大阪市の案内には、次のような書類が挙がっていました。
- 構造設備の概要(別の様式)
- 施設の平面図(機械器具の配置がわかるもの)
- 付近の見取図
- 従業者の名簿
- 法人の場合は登記事項証明書
- 美容師免許証(窓口で原本を確認する自治体が多い)
同じ書類でも、扱いは自治体によって違います。たとえば法人の登記事項証明書は、文京区は「6ヶ月以内」のもの、大阪市は「3ヵ月以内」のものを求めています。東京都の多摩小平保健所は、本証を確認するだけで提出は不要としています。
5. 提出の時期と手数料は自治体ごとに違う
法律が定めているのは「あらかじめ」届け出ることだけで、何日前までという全国共通の決まりはありません。自治体の案内は次のとおりです。
| 自治体 | 提出の時期と手数料 |
|---|---|
| 名古屋市 | 営業開始予定日の7日前には提出。検査手数料16,000円 |
| 東京都文京区 | 開店予定日の7日前までに提出。手数料24,000円。事前相談は予約制 |
| 大阪市 | 日数の記載なし。申請手数料16,000円。オンライン申請も可 |
| 東京都 多摩小平保健所 | 検査後の事務処理に1週間程度かかることがあるため、余裕を持って届け出る |
7日前はあくまで最終の目安です。検査で直すところが見つかれば、確認済証の交付はその分遅れます。オープン日の告知や予約の受付は、確認済証の交付日が見えてから始めると安心です。
6. 医師の診断書の取り方
診断書は、内科などの医療機関で発行してもらえます。受診のときは「美容所の開設届に添付する診断書で、結核と伝染性の皮膚疾患の有無について書いてほしい」と伝えてください。自治体によっては様式が決まっていることもあるので、先に保健所のホームページで確認しておくと確実です。
有効期間も自治体によって違います。大阪市は「1ヵ月以内のもの」、文京区と多摩小平保健所は「3か月以内」のものとしています。開設日から逆算して、早く取りすぎないようにしてください。
7. 開業後の変更届・廃止届
届け出た内容が変わったときや、お店を閉めるときは、すみやかに届け出ます(美容師法第11条第2項)。たとえば次のような場合です。
- 美容師が入った・辞めた
- 管理美容師を置いた・替えた
- 店名を変えた
- 構造設備を変えた(席を増やした、など)
- お店を閉めた
美容師を新しく雇ったときは、その人の医師の診断書を添えます。管理美容師を置いたときや替えたときは、資格を証する書類を添えます(施行規則第20条)。
法律は「すみやかに」としか定めていませんが、県の規則で日数を決めている例もあります。たとえば和歌山県は、廃止の届出を「廃止の日から10日以内」としています。
席を増やすときは、作業室の面積の基準も満たす必要があります。工事の前に保健所へ相談してください。
8. 税務署の開業届と青色申告(2026年から期限が変わりました)
個人事業として美容室を始める場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を出します。
提出の期限は、2026年1月1日以後の開業から変わりました。国税庁の案内では、現在の提出時期は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。2025年までに開業した場合は、従来どおり開業日から1か月以内でした。
ただし、青色申告承認申請書の期限は変わっていません。その年の1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内です。青色申告を使うなら、開業届と一緒に早めに出しておくのが確実です。
税務署への届出の全体像は、美容室開業の手続きにまとめています。
9. 届出と同じ時期に決めておくこと
開設届を出す頃には、店名・場所・席数・スタッフが決まっています。この時期にあわせて決めておきたいのが、お客様とのつながり方です。予約をどこで受けるか、カウンセリングとカルテをどう残すか、次回のご来店をどうご案内するかは、開業後に変えるのがいちばん難しいところです。
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10. よくある質問
Q1. 美容所開設届は、開業の何日前までに出せばよいですか。 A. 法律が定めているのは「あらかじめ」届け出ることだけで、全国共通の日数はありません。名古屋市と東京都文京区は「7日前まで」と案内しています。検査で直すところが見つかることもあるので、管轄の保健所に早めに相談してください。
Q2. 手数料はいくらですか。 A. 自治体によって違います。名古屋市と大阪市は16,000円、東京都文京区は24,000円でした。管轄の保健所のホームページで確認してください。
Q3. 診断書には何を書いてもらえばよいですか。 A. 結核、皮膚疾患その他の伝染性の病気の有無です(美容師法施行規則第19条)。美容師全員分が必要です。有効期間は自治体によって1か月以内や3か月以内と違うので、取る時期に注意してください。
Q4. 一人で開業する場合も、美容所開設届は必要ですか。 A. 必要です。人数にかかわらず、美容所を開設するなら届出と検査が必要です。一人の場合は、管理美容師を置く必要はありません。
Q5. 開業届を出していなくても、美容所開設届は受け付けてもらえますか。 A. 2つは別の手続きです。美容所開設届は保健所への衛生面の届出、開業届は税務署への税金の届出で、それぞれ出す必要があります。
11. まとめ
- 美容所開設届は保健所に、開設の前に出す。確認を受けるまでお店は使えない
- 届出書に書くことは施行規則第19条で決まっている。美容師全員の診断書は必ず添付する
- 提出時期・手数料・診断書の有効期間は自治体ごとに違う。物件の契約前に保健所へ相談する
- 美容師が入った・辞めた、店名を変えたときはすみやかに変更届を出す
- 税務署の開業届は、2026年以後の開業なら確定申告期限まで。青色申告承認申請は開業から2か月以内
出典・参考
- 美容師法(e-Gov法令検索) 第6条(美容師でなければ業とできない)、第11条(開設の届出)、第12条(使用前の確認)、第12条の3(管理美容師)、第15条(閉鎖命令)、第18条(罰則)
- 美容師法施行規則(e-Gov法令検索) 第19条(開設届の記載事項と添付書類)、第20条(変更の届出)、第23条(管理美容師講習会の基準)、第25条(消毒の方法)
- 名古屋市「理容所・美容所 開設届」 営業開始予定日の7日前には提出、検査手数料16,000円、必要書類
- 文京区「理容所・美容所開設届」 開店予定日の7日前までに提出、手数料24,000円、診断書は3か月以内
- 大阪市「理容所・美容所」(手続き・届出) 申請手数料16,000円、診断書は1か月以内、登記事項証明書は3か月以内
- 東京都多摩小平保健所「美容所」(生活の衛生) 届出前(工事着工前)の相談、検査後の事務処理に1週間程度
- 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」 提出期限(2026年1月1日以後の開業は、開業した年の確定申告期限まで)と様式
- 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」 申請期限
- 国税庁 タックスアンサー No.2070「青色申告制度」 業務を開始した日から2か月以内の申請
制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。
この記事について
LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。
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