美容室の次回予約率を上げる方法|声かけの型と4週間の定着手順
次回予約は、もっとも確実で、もっとも安く、効果が翌日に分かる唯一のリピート施策です。上がらない原因と、そのまま使える声かけをまとめました。
次回予約は、リピート施策のなかでもっとも確実に効き、もっとも安く、もっとも早く結果が出る打ち手です。その場で押さえてしまえば、来店サイクルは「結果」ではなく「設計」になります。
それでも取得率が上がらないのは、たいてい技術やトークの問題ではありません。声のかけ方以前の、順番と設計の問題です。
この記事では、次回予約率の測り方、上がらない原因の切り分け、そして実際の声かけを場面別に扱います。「積極的に声をかけましょう」で終わらせません。
1. 次回予約率は、何を分母にするか
まず定義です。ここが曖昧なまま「取得率が低い」と言っても、改善しようがありません。
次回予約率 = 次回予約を取ったお客様 ÷ その期間に施術したお客様ただし、この形だけでは実務に使えません。必ず2つに分けてください。
| 区分 | 分母 | なぜ分けるか |
|---|---|---|
| 新規の次回予約率 | その期間の新規客 | 難易度がまったく違う |
| 既存の次回予約率 | その期間の既存客 | こちらは高くて当たり前 |
新規の方に次回予約をお願いするのは、「またこの店に来る」と決めていただくことです。既存の方に次回予約をお願いするのは、来る前提での日程調整です。同じ数字にまとめると、どちらの改善余地も見えなくなります。
さらに担当者別に出すと、指導すべき点が特定できます。→ スタッフ別リピート率の見方
2. なぜ次回予約がいちばん効くのか
理由は3つあります。
① お客様側の「判断」を消せる
次回予約がない状態で店を出たお客様は、家に帰ってから3つの判断をしなければなりません。
- いつ行くか
- どの店に行くか
- いつ予約の連絡をするか
この3つが、そのまま3つの離脱ポイントです。次回予約はこれを一度にゼロにします。
② サイクルが伸びない
予約が入っていれば、来店間隔は設計どおりになります。予約がなければ、「気になったら行く」に委ねられ、必ず後ろにずれます。
来店サイクルが60日から70日に伸びると、客単価8,000円・常連200名で年間144万円が消えます(→ 来店サイクルの測り方)。次回予約はこの伸びを直接止めます。
③ その日のうちに結果が分かる
他のリピート施策は、効果が分かるまで数か月かかります。初回リピート率なら来店サイクルの2倍以上。次回予約率は翌日に出ます。改善の試行錯誤を高速で回せる、唯一のリピート指標です。
3. 取得率が上がらない5つの原因
原因① 会計のタイミングで声をかけている
もっとも多い間違いです。会計時は、お客様の意識が「支払い」と「帰る」に向いています。ここで「次回のご予約は」と聞かれても、考える余裕がありません。反射的に「また連絡します」と答えが出ます。
正しいタイミングは、施術の途中です。具体的には、仕上げに入る前後。鏡の前で仕上がりを見ながら、髪の状態の話をしている流れの中に置きます。
原因② 「次はいつがいいですか」と聞いている
これは、お客様に判断を丸投げする質問です。お客様は美容の専門家ではないので、いつが適切かを知りません。分からないことを聞かれると「また連絡します」になります。
専門家として、目安を提示してください。
「今日のカラーだと、根元が気になり始めるのは6〜7週目くらいです。ちょうど◯月の中頃ですね」
これは営業トークではなく、専門的な助言です。お客様は判断材料を受け取ったことになります。
原因③ 次回予約の「理由」が施術中に作られていない
仕上げの段階で急に次回の話をすると、唐突に感じられます。施術中の会話のなかに、次回につながる話を1つ置いておく必要があります。
- 「今日は伸びた部分を中心に色を合わせました。次は根元だけで整いますよ」
- 「今回少し重さを残したので、2か月くらいで一度整えると扱いやすい状態が続きます」
この一言があるかどうかで、仕上げ時の次回予約の自然さがまったく変わります。
原因④ 予約が変更しにくいと思われている
「先の予定が読めないから」と断られる場合、その裏にあるのは「変更や取り消しが面倒そう」という不安です。
ここは事実を伝えれば解決します。
「もしご予定が変わっても、前日まででしたらLINEから変更していただけます。とりあえず押さえておきましょうか」
変更のしやすさを先に伝えるだけで、取得率は変わります。逆に、変更の手続きが実際に面倒な店では、この方法は使えません。仕組みのほうを直す必要があります。
原因⑤ スタッフによって、やる人とやらない人がいる
取得率を担当者別に出すと、たいてい2倍以上の差があります。この差は熱意ではなく、上の①〜③を実行しているかどうかの差です。
数字を出して、高い人が何を言っているかを共有する。それだけで底上げできます。
4. 場面別の声かけ
実際の言い回しです。そのまま使えます。
既存のお客様(カラー)
仕上げ前、鏡を見ながら
「今日は根元を中心に合わせました。この明るさだと、6週間くらいで境目が出てきます。◯月◯日あたりが目安ですね」
仕上げ後
「その頃で押さえておきましょうか。◯日の午前と、◯日の夕方が空いています」
ポイント:日付の候補を2つ出します。「いつがいいですか」ではなく「AかBか」にすると、判断が軽くなります。
既存のお客様(カットのみ)
「今日は少し長さを残したので、2か月くらいで一度整えると、この形が続きます。だいたい◯月の頭ですね」 「まだ先ですが、土曜の午後は埋まりやすいので、押さえておかれますか」
ポイント:カットは間隔が長いぶん「まだ先」と言われがちです。混みやすい枠であることを伝えると、押さえる理由になります。
新規のお客様
新規の方に、いきなり次回予約をお願いすると押しつけになります。段階を踏みます。
施術中
「◯◯さんの髪質だと、このくらいの周期で来ていただくと、扱いやすい状態が保てます」
仕上げ後
「もしまたご縁がありましたら、◯週間後くらいが目安です。今日の内容はカルテに残しておきますので、次回は続きから始められます」
ポイント:新規に対しては、予約を取ることより「次の目安を伝えること」を優先してください。その場で取れなくても、目安が伝わっていれば、後日戻ってくる確率が上がります。取得率を新規と既存で分ける理由がここにあります。
断られたとき
「承知しました。では◯週間後くらいになりましたら、空き状況をお送りしますね」
断られた時点で終わりにしない。次の接点を予告しておくと、後日の連絡が自然になります。この一言があるかないかで、後日の連絡の反応がまるで違います。
5. 仕組み側でやること
声かけだけに頼ると、忙しい日に落ちます。仕組みで支えます。
① 変更・取り消しをその場でできるようにする
「変更が面倒そう」が断り文句の裏にある以上、実際に簡単でなければ嘘になります。お客様が自分で変更できる手段があるかどうかが、取得率に直結します。
② 予約票を渡す・送る
紙でも、メッセージでも構いません。日時が形として残ることが重要です。口頭だけだと、お客様の記憶から抜けます。
③ 前日のリマインドを自動で送る
次回予約を増やすと、当然ながら「忘れていた」による無断キャンセルも増えます。リマインドをセットで用意しないと、次回予約が増えた分だけ空き枠の穴が増えます。→ 無断キャンセルを減らす仕組みづくり
④ 取得率を週次で貼り出す
担当者別・新規既存別の取得率を、週次で共有します。評価ではなく、共有です。高い人のやり方を聞く場を作ることが目的です。
7. 4週間で店の習慣にする
一度の朝礼で「次回予約を取りましょう」と言っても、翌週には戻ります。習慣にするには順番があります。
1週目:現在地を出すだけ
声かけは変えません。担当者別・新規既存別の取得率を出して、貼り出すだけです。
多くの店で、この時点で驚きが起きます。「自分は取っているつもりだった」人の数字が低い、という形で。指導より先に、事実を見せる。ここを飛ばすと、指導が「やっていないでしょう」という指摘に聞こえてしまいます。
2週目:高い人のやり方を聞く
いちばん取得率が高いスタッフに、こう聞きます。
- どのタイミングで言っているか
- 最初の一言は何か
- 断られたときに何と返しているか
このヒアリングを全員の前でやります。外から持ってきた台本より、同じ店の人の言葉のほうが定着します。
3週目:言い回しを1つだけ揃える
全員が使う共通の言い回しを、1つだけ決めます。多くを決めると誰も覚えません。
推奨は「目安の日付を伝える」部分です。
「今日の◯◯だと、次は◯週間後、◯月◯日あたりが目安です」
ここだけ揃えれば、あとは各自の話し方で構いません。
4週目:キャンセル率も並べる
取得率だけを貼ると、押しつけが始まります。当日キャンセル率を隣の列に並べてください。両方が上がっている人には、取り方を見直してもらいます。
定着したかの判定
4週間後、次の2つが揃っていれば定着です。
- 取得率が上がり、当日キャンセル率が横ばい
- 数字が低い週に、スタッフ側から理由の説明が出てくる
2つ目が重要です。数字を自分のものとして見るようになれば、貼り出しをやめても続きます。
8. やってはいけないこと
取得率だけを目標にする。 数字だけを追うと、押しつけになります。押しつけで取った予約はキャンセルされ、しかも「感じが悪い店」という印象が残ります。取得率と当日キャンセル率をセットで見てください。取得率が上がってキャンセル率も上がっているなら、それは押しつけです。
新規と既存をまとめて評価する。 新規比率が高い担当者は不利になります。
「また連絡します」を成功に数えない。 これは断りです。断りとして記録し、後日連絡の対象に入れてください。
よくある質問
Q1. 次回予約率の目安はどれくらいですか。 A. 公開された業界標準値はありません。ただし新規と既存では性質が違うため、分けて自店の推移を追ってください。既存のお客様は「来る前提の日程調整」なので高くなりやすく、新規は「またこの店にするか」の判断を伴うため低くなります。他店と比べるより、自店で前月比・担当者間で比べるほうが実用的です。
Q2. 会計時ではなく施術中に声をかけるのはなぜですか。 A. 会計時はお客様の意識が支払いと帰宅に向いており、考える余裕がないためです。反射的に「また連絡します」と答えが出ます。仕上げの前後、鏡を見ながら髪の状態を話している流れの中に置くと、次回の話が自然につながります。
Q3. 「予定が分からない」と言われたらどうすればよいですか。 A. 多くの場合、その裏にあるのは変更が面倒そうという不安です。「前日まで変更できます」と先に伝えたうえで、仮に押さえることを提案してください。実際に変更手続きが煩雑な店では、まず仕組みを直す必要があります。
Q4. 新規のお客様にも次回予約をお願いすべきですか。 A. お願いして構いませんが、優先すべきは「次回の目安を伝えること」です。その場で取れなくても、目安が伝わっていれば後日戻る確率が上がります。強く勧めると押しつけになり、初回の印象を損ないます。
Q5. 次回予約が増えると、キャンセルも増えませんか。 A. 増えます。だからリマインドをセットで用意してください。前日の自動リマインドがない状態で次回予約だけ増やすと、空き枠の穴が増えます。
Q6. スタッフ間で差が大きいのですが、どう指導すればよいですか。 A. まず数字を担当者別・新規既存別に出してください。そのうえで、高い人が「いつ」「何と言っているか」を聞き取り、共有します。指導ではなく共有の形にするのがコツです。前提の揃え方はスタッフ別リピート率の見方にまとめています。
まとめ
- 次回予約はもっとも確実で、もっとも安く、もっとも早く結果が出るリピート施策。効果は翌日分かる
- 分母を新規/既存に分ける。まとめると改善余地が見えない
- 上がらない原因は5つ。会計時に聞いている/判断を丸投げしている/施術中に理由を作っていない/変更しにくいと思われている/担当者差
- 「次はいつがいいですか」ではなく、専門家として目安の日付を2つ提示する
- 断られたら「◯週間後に空き状況をお送りします」と次の接点を予告する
- 取得率と当日キャンセル率をセットで見る。両方上がっていたら押しつけ
リピート施策全体のなかでの位置づけは美容室のリピート率 完全ガイドにまとめています。
この記事について
LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。
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