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美容室の閑散期・平日の空席を埋める|値引きに頼らない4つの方法

値引きで埋めた枠は単価と客層を同時に削ります。曜日別・時間帯別の稼働率の出し方、値引きせずに埋める4つの道、声をかける順番、閑散期にこそやっておくべきことまでまとめました。

読了 約10分
美容室の閑散期・平日の空席を埋める|値引きに頼らない4つの方法

平日の昼、2月、8月——席は空いているのにお客様が来ない時間が、どのサロンにもあります。そこで真っ先に思いつくのが割引ですが、値引きで埋めた枠は、単価と客層を同時に削ります。

この記事は、値引きに頼らずに空席を埋めるための考え方と、具体的な手順をまとめたものです。

1. まず「どこが空いているか」を数字にする

「なんとなく平日が暇」では手を打てません。曜日別・時間帯別の稼働率を出してください。

稼働率 = 実際に施術した人数 ÷(席数 × 営業時間 ÷ 平均施術時間)

直近1か月ぶんを、この形で並べます。

10-12時12-14時14-16時16-18時18-20時

埋めてみると、たいてい特定の曜日の特定の時間帯だけが極端に低いことが分かります。全体をならして考えるより、そこ1点に絞るほうが打ち手が具体的になります。

空席の損失を金額にする

出すもの計算
1枠あたりの粗利客単価 ×(1 − 材料費率)
1か月の空席数(上限人数 − 実績人数)
空席による機会損失1枠あたり粗利 × 空席数

金額にすると、割引でいくらまでなら埋める価値があるかの判断ができます。粗利5,000円の枠を3,000円引きで埋めるのは、空席のままよりはましですが、単価の基準を壊す代償が残ります。

計算は売上計画シミュレーターで出せます。

2. なぜ値引きで埋めてはいけないのか

理由は3つあります。

① 単価の基準が下がる。 一度その価格で受けたお客様は、次も同じ価格を期待します。閑散期だけのつもりが、通年の単価を引き下げます。

② 客層が変わる。 割引で来る方は、次も割引のある店へ移ります。埋まった枠の数だけを見ると成功に見えますが、再来につながりません。

③ 常連のお客様に見える。 「自分は定価で通っているのに」と感じさせると、長く通ってくださっている方から失います。

市場データもこれを裏づけています。美容室市場が縮んでいる主因は単価ではなく来店回数の減少(女性の年間利用回数4.18回・前年比−2.8%、1回あたり単価は7,686円で+0.2%と横ばい)で、しかも利用が減った理由の第2位が「サロンの料金改定」でした。 (出典:リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期」)

価格を動かすことの影響は、思っているより大きいということです。

3. 値引きせずに埋める4つの道

方法何をするか向いている空席
① 既存客の前倒し来店予定が近い方に、空いている枠をご案内する平日昼・直近の枠
② 時間のかかるメニューを寄せる空いている時間帯に長時間メニューを配置平日昼
③ 価格以外の付加同じ価格でオプションを1つ添える曜日・時間を問わない
④ 客層で埋めるその時間に来られる層へ届ける平日昼

① 既存客の前倒しがいちばん効く

新規を呼ぶより、来る予定のあるお客様に少し早く来ていただくほうが確実です。

前回来店から一定期間が経った方のうち、まだ予約が入っていない方に、空いている枠をご案内します。

「そろそろ根元が気になってくるころかと思います。◯日の14時が空いておりますが、いかがですか」

割引は付けません。「あなたの枠を取っておきました」という提案として伝えます。誰に送るかは、顧客台帳テンプレートの「間隔が延びている」で抽出できます。

② 時間のかかるメニューを空き時間に寄せる

平日の昼は、時間に余裕のある層が来られる時間帯です。縮毛矯正・パーマ・トリートメントなど、時間はかかるが席の回転を気にしなくてよいメニューを、この時間に配置します。

混む時間帯には回転の良いメニューを、空く時間帯には長時間メニューを——同じ席数でも売上が変わります。

③ 価格ではなく中身を足す

同じ価格のまま、その時間帯だけオプションを1つ添える形です。

  • 平日14時までのご来店に、ヘッドスパを10分
  • 火曜のご来店に、次回使えるトリートメント1回分

価格表を触らないので、単価の基準が崩れません。 やめるときも「今月で終了です」と自然に伝えられます。

④ その時間に来られる層に届ける

平日昼に来られるのは、勤務の形が違う方・子育て中の方・学生・ご年配の方などです。そこに向けた発信をしていないから来ないという面があります。

「平日限定」を打ち出すのではなく、「この時間なら待たずにゆっくりできます」という伝え方のほうが、価格ではない理由になります。

4. 声をかける順番

閑散期に連絡する相手には、順番があります。

相手理由
1来店間隔が延びている方まだ失客していない。ひと声で戻る可能性が高い
2次回予約が入っていない常連の方予定を思い出していただくだけ
3前回から3〜6か月空いた方掘り起こしの対象
4半年以上空いた方反応は落ちるが、送る価値はある

全員に一斉に同じ文面を送るのは、いちばん効きません。 相手によって伝えることが違うからです。

1と2には「空いている枠のご案内」、3と4には「お変わりありませんか」から入ります。文面は失客DM・掘り起こしLINEの例文集にまとめました。

5. いつが閑散期になるか

美容室の閑散期には、ある程度の型があります。自店の実績と照らして、来年の予定を先に決めておくために整理しておきます。

時期起きやすいこと使い道
1月後半〜2月年末年始に来た方の次回がまだ先。出費を控える時期価格改定の告知・台帳整備
4月後半〜5月新生活が落ち着くまで来店が後ろにずれる前倒しのご案内
8月帰省・旅行で予定が埋まるスタッフの研修・撮影
12月前半年末に集中するため、その前が空く年末枠の先押さえ

12月前半は「空いている」のではなく「後ろに集中している」だけです。ここは前倒しのご案内が最も効きます。「年末は混み合いますので、今のうちに」は、お客様にとっても利点のある提案です。

平日の昼は「閑散期」ではない

曜日・時間帯の偏りは、季節の閑散期とは別の問題です。平日昼が空くのは構造的なものなので、季節対策とは分けて考えてください。こちらは客層で埋めるのが基本です。

6. そのまま使える声かけの文面

来店間隔が延びている方へ

「◯◯様、その後いかがお過ごしですか。前回から◯か月ほど経ちましたので、そろそろ根元が気になるころかと思います。◯月◯日(火)14時が空いておりますが、ご都合いかがでしょうか。」

日付を具体的に出すのが要点です。「空いています」だけだと、お客様が日程を考える手間が残ります。

次回予約が入っていない常連の方へ

「いつもありがとうございます。年末は混み合いますので、先にお席をお取りしておきましょうか。◯月の平日でしたら比較的お取りしやすいです。」

半年以上空いた方へ

「ご無沙汰しております。お変わりありませんか。もしまた機会がありましたら、いつでもお声がけください。」

この層には枠の案内をしません。 久しぶりの連絡でいきなり予約を促すと、営業と受け取られます。まず様子をうかがう一言だけにしてください。

送るときの注意

  • 一斉送信の文面をそのまま使わない。 名前と前回の施術に触れるだけで反応が変わります
  • 短くする。 長い文面は読まれません
  • 返信しやすくする。 「ご都合いかがでしょうか」で終える

7. 閑散期にやっておくべきこと

空席を埋めるだけが閑散期の使い道ではありません。忙しい時期にできないことを片づける時期でもあります。

やることなぜこの時期か
顧客台帳の整備繁忙期には手が回らない
メニュー構成の見直し数字を落ち着いて見られる
価格改定の検討と告知影響が出ても立て直す時間がある
スタッフの技術練習席が空いている
写真・SNSの素材づくり撮影の時間が取れる

とくに価格改定は閑散期に行うのが原則です。繁忙期の直前に上げると、来店が集中したところで印象を悪くします。詳しくは美容室の値上げの進め方へ。

8. 測ること

閑散期の対策は、やった翌月ではなく、翌年の同じ月と比べて判断します。季節要因があるため、前月比では読めません。

測る項目比べる相手
曜日別・時間帯別の稼働率前年同月
平均客単価前年同月(割引で下がっていないか)
声をかけた人数と、来店した人数施策ごと
新規/既存の比率前年同月

「声をかけた人数」を記録していないサロンが多いのですが、これがないと効果が判定できません。50人に送って5人来たのか、10人に送って5人来たのかで、意味がまったく違います。

9. 仕組みで支えるなら

ここまでは道具に関係なく成り立つ話です。台帳と電話でも実行できます。

そのうえで触れておくと、私たちが提供している「LIKE」では、前回来店日をもとに「そろそろの方」を抽出して、その方たちにだけ空き枠のご案内を送れます。全員に一斉送信するのではなく、声をかける相手を絞れるのが実務上の違いです。

ただし、仕組みを入れれば空席が埋まるわけではありません。 どこが空いているかを数字にして、誰に何を伝えるかを決めているかが先です。

詳細はLINE予約の機能ページをご覧ください。

10. 新規で埋めるという選択

既存客で埋まらない場合、新規で埋める判断もあります。ただし条件があります。

条件理由
その枠の粗利より、獲得コストが低いこと埋めるほど赤字になる場合があります
2回目につながる設計があること初回だけで終わると、毎月同じ人数を集め続けることになります
常連の方に割引が見えないこと「自分は定価なのに」を招きません

1つ目は必ず数字で確認してください。掲載料・送客手数料・割引の原価を合わせた1人あたりの実質コストは、新規1人あたり実質コスト計算ツールで出せます。

実質コストがその枠の粗利を上回っているなら、空席のままのほうがましです。 埋まった数だけを見ていると、この逆転に気づきません。

そして新規で埋めた場合、2回目に来ていただく設計まで含めて初めて成立します。 初回の記録を残し、次回のご案内を出すところまでを一続きにしてください。方法は開業初日から顧客台帳を作るにまとめています。

11. まとめ

  • まず曜日別・時間帯別の稼働率を出す。全体をならすと打ち手がぼやける
  • 値引きは単価の基準・客層・常連の気持ちの3つを同時に削る
  • 埋める順番は①既存客の前倒し ②長時間メニューを寄せる ③価格以外を足す ④客層で埋める
  • 声をかける相手は「来店間隔が延びている方」から。全員一斉が最も効かない
  • 閑散期は価格改定・台帳整備・メニュー見直しの適期
  • 効果は前年同月と比べる。前月比では季節要因で読めない

空席は埋めるものですが、埋め方によっては来年の自分を苦しめます。 値引き以外の手を先に試してください。

verified出典・参考

制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。

この記事について

LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。

記事の内容は掲載時点の情報です。仕様や料金は各サービスの公式情報をあわせてご確認ください。 何を根拠に書き、どの分野は専門家にご確認いただきたいかは編集方針に記載しています。 運営会社について

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