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美容室の経営が厳しいとき|どこで詰まっているかを切り分け、手を付ける順番

倒産は過去最多の235件、うち設立10年未満が49.0%。市場が縮んでいる主因は単価ではなく来店回数です。「売上が落ちた」を4つに切り分け、資金繰りを確認し、効果が出るまでが短い順に手を付ける方法を、1か月の具体的な手順まで落とし込みました。

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美容室の経営が厳しいとき|どこで詰まっているかを切り分け、手を付ける順番

売上が落ちている。資金繰りが苦しい。何から手を付ければいいか分からない——そういうとき、検索して出てくるのは「集客を強化しましょう」「SNSを頑張りましょう」という一般論ばかりです。

この記事は、まずどこで詰まっているかを切り分け、順番を決めるためのものです。精神論は書きません。

先に、置かれている状況を数字で確認しておきます。

2025年の美容室の倒産は235件で過去最多、2年連続の更新。そのうち設立10年未満が49.0%を占め、資本金1,000万円未満が9割超でした。 (出典:帝国データバンク「美容室の倒産動向調査(2025年)」
美容室市場は1兆3,063億円で前年比−5.9%。ただし1回あたりの単価は女性7,686円で+0.2%とほぼ横ばい、落ちているのは年間の来店回数(女性4.18回・−2.8%)です。 (出典:リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期」)

苦しいのは経営者の努力不足ではなく、市場全体で来店回数が落ちているためです。 そして原因が「回数」にあると分かれば、打つ手も決まります。

1. どこで詰まっているかを切り分ける

「売上が落ちた」は結果です。原因は必ずこの4つのどれかにあります。

売上 = 客数 × 客単価
客数 = 新規客数 + 既存客数
既存客数 = 会員数 × 来店回数

順に確認してください。上から埋めていくと、たいてい2番目か3番目で止まります。

「売上が落ちた」を分解すると

売上の落ち込みは、必ずこの3つのどれかとして現れます。どれかを特定しないまま手を打つと外します。

落ち方数字の出方主な原因
客数が減った延べ来店客数が減新規の減少、または来店間隔の伸び
客単価が落ちた客数は同じで売上が減割引の常態化、提案の減少
両方どちらも減満足度か、競合の影響

いちばん多いのは「客数が減った」で、そのうち大半が来店間隔の伸びです。 失客として見えないため気づくのが遅れます。2か月ごとだった方が2か月半になるだけで、年間6回が4.8回になります。

#確認すること出し方詰まっているサイン
1新規は減っているか月別の新規客数前年同月比で2割以上減
2新規が2回目に来ているか2回目来店数 ÷ 新規客数3割を下回る
3既存の来店間隔が延びていないか平均来店間隔(中央値)前年より2週間以上長い
4客単価が落ちていないか新規/既存を分けて算出既存の単価が落ちている

多くの場合、詰まっているのは2か3です。 新規は取れているのに戻ってこない、または来ていた方の間隔が延びている。前述のとおり市場全体で回数が落ちているので、これは自然な帰結でもあります。

計算はリピート率・失客率 計算ツールで出せます。

2. 先に資金繰りを確認する

売上の改善には時間がかかります。その時間を確保できるかどうかを先に見てください。

出すもの計算
月の営業利益売上 −(材料費+人件費+家賃+その他)
損益分岐点の客数固定費 ÷(客単価 ×(1 − 材料費率))
いまの客数との差現在の客数 − 損益分岐点の客数
手元資金で何か月もつか現預金 ÷ 月の赤字額

最後の項目が3か月を切っていたら、売上の改善より先に資金の手当てが必要です。

資金の相談先

返済が苦しい場合は、まず取引金融機関に相談してください。 条件変更(リスケジュール)に応じてもらえることがあります。延滞してから相談するより、その前に相談するほうが選択肢が残ります。

計算は売上計画シミュレーターで出せます。

3. 手を付ける順番

原因が分かったら、効果が出るまでの時間が短い順に手を付けます。

打ち手効果が出るまでなぜこの順か
1来店間隔が延びている方に声をかける数日〜2週間既に関係がある。最も速い
2次回のご案内を仕組みにする1〜2か月1を継続的にする
3固定費の見直し1〜2か月売上に手を付けずに利益が出る
4メニュー構成・単価の見直し2〜3か月価格は慎重に
5新規集客の強化3か月〜最も費用と時間がかかる

多くの方が5から始めてしまいます。 苦しいときほど新規に目が向きますが、新規獲得は最も費用がかかり、最も時間がかかる打ち手です。

1がなぜ最速か

前回来店から間隔が延びている方は、まだ失客していません。 他店に移ったのではなく、単に予定が後ろにずれているだけであることが多い。ひと声かけるだけで戻っていただける確率が、新規を1人集めるのとは比べものになりません。

抽出は顧客台帳テンプレートの「間隔が延びている」でできます。

3の固定費で見るところ

項目見るところ
ポータル掲載料プランを下げられないか。実質コストを計算してから判断
リース・サブスク使っていないものが残っていないか
材料費仕入先の見直し、廃棄の削減
水道光熱費契約プランの見直し

人件費の削減は最後です。 人が減ると施術できる枠が減り、売上の上限そのものが下がります。

4. やってはいけない4つのこと

① 値引きで客数を戻そうとする 一時的に埋まりますが、単価の基準と客層が同時に崩れます。市場データでも、利用が減った理由の第2位は「サロンの料金改定」でした——価格を動かすことの影響は思っているより大きいということです。

② 新規集客に費用を追加投入する 苦しいときに最も費用対効果が悪い選択です。まず今いるお客様に戻っていただくほうが、費用も時間もかかりません。

③ メニューを増やす 選択肢が増えると決められなくなり、いちばん分かりやすい単品が選ばれます。増やすより整理するほうが効きます。

④ 数字を見ないまま動く どこで詰まっているか分からないまま施策を打つと、効いたかどうかも分かりません。「どこで詰まっているかを切り分ける」の4項目だけは必ず出してください。

5. 1か月でやること

順番が決まっても、初日に何をするかで迷います。具体的にしておきます。

1週目:数字を出す

  • 月別の新規客数(過去12か月)
  • 2回目来店率
  • 平均来店間隔
  • 新規/既存を分けた客単価
  • 月の営業利益と、手元資金が何か月もつか

この週は何も変えません。 変えると後で効果が判定できなくなります。

2週目:声をかける

  • 来店間隔が延びている方を抽出する
  • 20〜30人に絞って、個別に連絡する
  • 送った人数と、来店した人数を記録する

一斉送信ではなく、少人数に個別で。反応が見えるので、文面の改善もできます。

3週目:固定費を見る

  • 契約している費用を全部書き出す
  • 使っていないもの、下げられるものに印を付ける
  • ポータルのプランを実質コストから判断する

4週目:判断する

2週目の反応次の手
声をかけて戻った方がいたこの仕組みを続ける。仕組み化へ
反応がなかった文面か相手の選び方を変えて再度
連絡先が分からない方が多いまず連絡先を集める設計から

最後の状況が、実は最も多いところです。連絡先が分からなければ、戻っていただく声かけができません。 その場合は、来店されている方から順に登録していく仕組みを作るのが先になります。

6. スタッフがいる場合の判断

一人サロンと、スタッフを雇っている場合とでは、判断が変わります。

人件費に手を付ける前に

人を減らすと施術できる枠が減り、売上の上限そのものが下がります。 減らした人件費以上に売上が落ちることがあるため、順番としては最後です。

先に確認することがあります。

確認見方
スタッフ別の客数と単価差が大きい場合、教育で埋められる余地がある
スタッフ別のリピート率条件をそろえて見る(新規配分の偏りに注意)
空いている時間帯の人員配置暇な時間に全員いる状態になっていないか
シフトと稼働率の対応客数の少ない曜日に人が厚くないか

シフトの組み替えだけで人件費率が下がることがあります。 人数を減らす前に、配置を見てください。

数字を共有するかどうか

苦しい状況をスタッフに伝えるかは難しい判断です。伝え方によっては不安から離職を招きます。

伝えるなら、「苦しい」ではなく「何をするか」を先に。「来店間隔が延びている方に声をかける取り組みを始めます。目標は月◯人です」という形にすると、行動につながります。

スタッフ別の数字を見る場合も、評価ではなく改善のために使うと明言してください。詳しくはスタッフ別リピート率の見方へ。

7. 続けるか、たたむかの判断

書きにくいことですが、避けて通れないので触れます。

判断材料は感情ではなく、次の3つです。

見るもの判断の目安
手元資金 ÷ 月の赤字額3か月を切っていたら、まず資金の相談
損益分岐点までの客数の差現実的に埋められる人数か
借入の返済と個人保証の状況条件変更が可能か

続けられるかどうかを判断する前に、必ず第三者に数字を見てもらってください。 よろず支援拠点は無料で、こうした相談を受けています。

そして重要なことですが、返済が苦しくなってからではなく、その前に金融機関へ相談するほうが選択肢が残ります。 延滞してからでは条件変更の交渉が難しくなります。

倒産の49.0%が設立10年未満というデータは、裏を返せば10年を越えたサロンは残っているということでもあります。乗り切るための選択肢は、思っているより残っている場合があります。

8. よくある質問

新規が減っているのか、既存が減っているのか分かりません。 月別に「新規客数」と「既存客数」を分けて数えてください。それができない場合、まず来店の記録を取る仕組みから始める必要があります。

とにかく客数を戻したいのですが、何が一番早いですか。 来店間隔が延びている方への声かけです。数日〜2週間で反応が出ます。新規集客は3か月以上かかります。

ポータルサイトの掲載をやめるべきですか。 実質コストを計算してから判断してください。新規1人あたり実質コスト計算ツールで、掲載料・送客手数料・割引原価を合わせた1人あたりの金額が出ます。やめる/続けるは、その数字を見てからです。

値上げして利益を確保するのはどうですか。 利益が出ていないなら選択肢ですが、進め方を誤ると失客します。美容室の値上げの進め方に、時期・幅・伝え方をまとめました。

連絡先が分からないお客様が多いです。 これが最も多い状況です。まず来店された方から順に登録していく仕組みを作ってください。既に来た方に後から登録をお願いするのは難しいので、今日来る方から始めるのが現実的です。

9. 仕組みで支えるなら

ここまでは道具に関係なく成り立つ話です。台帳と電話でも実行できます。

そのうえで触れておくと、私たちが提供している「LIKE」は、LINE公式アカウントと予約・顧客管理をつないだサービスです。前回来店日をもとに「そろそろの方」を抽出してご案内を送るところまでが一続きになります。初期費用はかからず、月額制で契約期間の縛りもありません。

ただし、仕組みを入れれば売上が戻るわけではありません。 どこで詰まっているかを数字で切り分け、誰に何を伝えるかを決めているかが先です。「どこで詰まっているかを切り分ける」と「先に資金繰りを確認する」を先に済ませてから検討してください。

詳細はLINE予約の機能ページをご覧ください。

10. まとめ

  • 倒産は過去最多の235件、うち設立10年未満が49.0%。苦しいのはあなただけではありません
  • 市場が縮んでいる主因は単価ではなく来店回数(回数−2.8%、単価+0.2%)
  • 「売上が落ちた」を新規/2回目/来店間隔/単価の4つに切り分ける
  • 売上より先に手元資金が何か月もつかを確認する。3か月を切っていたら資金の手当てが先
  • 手を付ける順番は①声かけ ②仕組み化 ③固定費 ④単価 ⑤新規。多くの方が⑤から始めて苦しくなります
  • 値引きと新規への追加投入が、苦しいときに最も避けたい2つ

第三者に数字を見てもらうだけで整理がつくこともあります。よろず支援拠点は無料です。ひとりで抱え込まないでください。

verified出典・参考

制度の内容は改定されることがあります。手続きの詳細・期限・手数料は所轄の窓口で最新の情報をご確認ください。 当編集部の考え方は編集方針に記載しています。

この記事について

LIKE編集部(株式会社SALON CONCIERGE)が執筆しています。 美容サロン向けにLINE連携の予約・顧客管理サービス「LIKE」を開発・運用しており、 サロンボードとの連携や予約の自動化を、実際にサロン様の現場で導入・運用してきた経験にもとづいて書いています。

記事の内容は掲載時点の情報です。仕様や料金は各サービスの公式情報をあわせてご確認ください。 何を根拠に書き、どの分野は専門家にご確認いただきたいかは編集方針に記載しています。 運営会社について

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